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本作の主役は信長と今川義元、準主役に信長の父信秀と義元の師匠で戦国時代屈指の名軍師太原雪斎。
物語は雪斎が幼い義元に出会うところから、桶狭間の戦いまでの37?38年くらいの期間の話です。

歴史物はキャラクターの魅力がとて大事だと思います。実話だからこれから起こる出来事はもう分かっている訳だし、ましてや信長という超メジャーな人物ならすでに読む側にもイメージというものが出来てることが多いでしょう。
その点この作品は素晴らしい、信長・信秀親子は従来のイメージを壊すことなく新鮮な魅力をもっているし、義元・太原雪斎の師弟コンビも奔放な義元と生真面目な雪斎の組み合わせが見ていてとても楽しいです。

歴史上の人物を描くときは一般的にその人物のドラマチックな逸話を描くことが多いと思います。わかりやすい逸話を挟んだ方がその人物の個性とか説明しやすいと思ったりするわけです。しかし本作にはあまりそういった話は出てきません。
そうではなくて、その人物が生まれた土地柄、身分や立場、歴史的な行跡から焦点をあてその人物の個性を探ろうとしているように感じました。
登場人物の行動や個性にも重厚感があってよかったです。

作者自身の史観もわかりやすくて面白かったです。

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[投稿:2010-12-29 22:07:13] [修正:2010-12-29 22:07:13]

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