「褒め河童」さんのページ

諸星大二郎先生の作品を初めて読みました。
一番気になったのは主人公たちの理解不能、ホラー漫画っぽくない行動。ホラーものに欠かせない感情移入や共感というものが全くの皆無でした。
恐怖に慄く主人公たちは描かれておらず、なんとも呑気でギャグなんかも混ぜちゃって、なんとも臨場感や緊迫感のないものでした。
しかし読んでくうちに2人の行動や思考、というより諸星大二郎先生が何を描きたいか分かってきました。これは主人公たちがあう恐怖体験や怪奇現象を面白げに描いている日常漫画のようなものであり、ホラー漫画ではなかったのです。
そう見るとだんだんと面白さが分かり納得できました。
実際最後のあとがきで、諸星大二郎先生自ら"コワサではなくどこかひとつハズしたものにしようと思いました"と書かれていました。
タイトルにもなったり、全話通して出ている事からもわかるように、話よりキャラクターに重きを置き、話の流れやオチなどもキャラクターの行動は同じでも全く別のものばかりになっており、さすが漫画を描くのがうまいなぁと思いました。
勿論話自体も突飛で面白く全く飽きさせない、世にも奇妙な物語を見ているような感覚に近くとても面白く読めました。同シリーズも全部読んでみたいと思える漫画でした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-03-22 01:12:38] [修正:2016-03-22 01:12:38]