まんまんちゃん、あん。のレビュー
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5点 とろっちさん
「まんまんちゃん」とは「なんまいだ」、つまり「南無阿弥陀仏」のこと。
「あん」とは、幼児語で仏様に手を合わせて拝む意。
要するに、現代の寺を舞台にした珍しい題材のホームドラマです。
とは言え、この作品、とにかく痛い。
寺の利権争い、檀家向けの営業、そして後継者問題。
夢も希望も清廉さも高潔さもなく、日本仏教界の裏側や問題点を現実的に、痛烈に描いています。
寺は「法人」であり、住職はあくまで従業者。
自分の親縁が世襲できなければ、寺から追放される目に遭いかねない。
そのためにそれぞれの思惑が絡み合い、ドロドロの話が展開されていきます。
ヒロインのめぐりは元気いっぱいで無邪気。だが、貧乏な家庭に育ち、家に居場所のない彼女は、
「寺に居続けられるなら誰と結婚してもいい」と恐ろしいまでに現実的な選択をしようとします。
そして彼女を奪い合い、騙し合う坊主たち。
とにかく読んでいてどの登場人物に共感するのも難しいです。
でもそれも作者の狙い通りなのかもしれません。
仏教界という一見清貧で厳格に思える世界でも、人間が絡むとどうしても生まれてくる醜さやエゴ。
この作者はそういうのを描くのがやっぱり上手いなあと思います。
ただ、再読したくはないです。
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[投稿:2010-04-25 20:08:57] [修正:2010-04-27 01:04:16] [このレビューのURL]