あらすじ 母親の自分を捨てた男への復讐心のために、女の子であるにもかかわらず生れ落ちたその日から男として育てられたユリウスは、父親と正妻との間に男の子が無い、フォン・アーレンスマイヤ家の次期当主として迎え入れられる。その邸が在るレーゲンスブルクの音楽学校(男子校)へ少女であることを隠し通う様になった彼女は、そこで苦学生のイザークや、どこかつかみどころのない不良学生ではあるがヴァイオリンの腕では教師からも一目おかれるクラウスと親しくなる。3人がそれぞれ出会った場所は、昔から学内でギリシャ神話のオルフェウスとエウリディケの悲恋の物語になぞらえた不思議な言い伝え(その窓にたった男性は階下を見下し最初に視界に入った女性と必ず恋に落ちるが、その恋は必ず悲劇に終るという)が実しやかに言い伝えられる「オルフェウスの窓」と呼ばれる窓であった。
備考 第1部(ユリウスがロシアに旅立つまで)は、「週刊マーガレット」1975年第4・5号から1976年第32号まで掲載され、その後「月刊セブンティーン」に連載の場を移し、1977年1月号から1981年8月号まで掲載された。
この漫画のレビュー
7点 こみっくはさん
ドラマチックです。この時代の少女漫画にあって、今の少女漫画にないもの、、、それが圧倒的なドラマチックさだと思います。
主人公がドイツの音楽学校で恋をした相手がロシアの革命家であり、次第にロシア革命に巻き込まれていく、大河ロマン。
舞台も国をまたがり移り変わります。
男のフリをしている主人公という点はベルサイユのバラと同じような設定だが、家督争いや、侵してしまったある秘密の為、という男装の理由付けがちゃんとある。
前半はロシア革命とはあまり接点のない音楽学校の学生生活が描かれている。革命だけを期待して読むと、前半の恋愛要素たっぷりの部分で挫折する方もいるかもしれない。しかしサスペンス的要素があり、主人公の秘密がバレるバレないのスリル感がある。また、音楽に対しての学生達の想いも読み応えがある。そして後半への伏線もある。
多くの登場人物がいるが、その誰もが懸命に生きている。
恋愛に対して…、志に対して…、音楽に対して…、生きることに対して、すべてに熱さが伝わってくる。
古い描写が肌に合わない方もいると思うが、そこにうまく溶け込めれば、古い描写だからこその、美しさや熱っぽさが心地良いと思います。
それがあるからこそ、ドラマティカルな世界を堪能できる。
高校の時回し読みをしていましたが、「ベルサイユのバラ」より「オルフェウスの窓」を高く評価している人が多かった記憶がある。
私もオルフェウスの窓の方が好きです。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-01-17 21:13:13] [修正:2011-01-17 21:13:13]