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9点(レビュー数:2人)

作者佐藤秀峰

巻数9巻 (完結)

連載誌週刊漫画TIMES:2004年~ / 芳文社

更新時刻 2011-07-27 23:38:08

あらすじ 「俺は何のために生きているんだ?」 10代の少年たちが集まる海軍の訓練機関で日々を過ごしていた渡辺裕三には、そんな疑問があった。その渡辺たちに、突如、ある特殊兵器への募集がかかる。募集にあたっての説明は「生還を期さない兵器」というだけだった。漠然とした不安を抱えながらも志願した渡辺たち100名は、瀬戸内海に浮かぶ、ある「島」へと送られる。 その「島」で少年たちが目にしたものは…!

備考 一度休載したが2010年より再開。不定期連載。

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この漫画のレビュー

10点 朔太さん

百田直樹の「永遠の0」をはじめとする特攻隊や原爆をテーマとする作品は、
どちらかというと苦手でした。
主張が画一的になり、「もう十分に分かっているから。」となりがちでした。
したがって、毎回驚きをもって読んできた佐藤秀峰氏の作品群で最後まで
手に取らなかった作品でした。
しかし、先入観は今回も見事に覆され、新たな感動を持って読み終えることができました。

太平洋戦争の悲惨さ、特攻隊員の残された家族への愛とそこに裏付けらた
使命感、選択肢のない死への道などは、当然のところ底流に存在し、
外せないモチーフではあるのですが、狂気のごとく執着で敵を討つ精神
構造の蓄積を全70話を通じて重ねていくのです。
主人公が最後まで肉弾の塊をもって攻撃に当たることに、何故鬼畜のごとく
執着することになったのかが、見事に表現されています。

途中の潜水艦戦術行動も、とてもエンターテイメントとして優れた展開でした。
戦争はスポーツのように絵にかいたゲームプラン通りに進まないのは当然です。ルールなんかない中で命のやり取りをするのですから当然です。
甲板に上がった艦長が飛来する一機の航空機の一発に被弾するなんて
アクシデントを用意するなど、これが戦争のリアルってことを驚きをもって
感じさせてくれました。

老若男女がそれぞれの世代とそれぞれの立場で読むことをお勧め致します。
戦争ものは嫌とか、敬遠せずに読んで下さい。
画も上手く、南洋を照らす洋上の月とか、黒煙を上げて沈んでいく戦艦とか、
井上雄彦氏ばりのイラストも最高レベルでした。
戦争反対なんていうイデオロギーとは別のところの感想が千差万別で
得られるような気がします。
そんなレビューを沢山読んでみたいところです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2025-05-14 09:58:12] [修正:2025-05-14 09:58:12]

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