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5.8点(レビュー数:5人)

作者佐藤秀峰

巻数9巻 (完結)

連載誌ビッグコミックスピリッツ:2007年~ / 小学館

更新時刻 2009-11-25 06:38:52

あらすじ 超一流・永禄大学附属病院の研修医・斉藤英二郎。
その最後の研修先は泌尿器科だった。
先輩の看護士・赤城が腎不全を患っていることを知った斉藤は、彼女を救う唯一の手段「臓器移植」と向き合うこととなる。

日本の医療の理想と現実を描き、社会の大反響を巻き起こした名作の続編が満を持して登場!
「医者ってい一体、なんなんだ?」
その切実な自問から始まった斉藤の熱い闘いはいよいよ核心へ!

備考 「ブラックジャックによろしく」第2部。掲載誌移動と共にタイトルが変更された物。
隔週連載

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新・ブラックジャックによろしくのレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全5 件

8点 朔太さん

医者の正義感で「目の前の人を助けたい。だから自分の腎臓を提供する。」という
無茶ぶりはとても子供っぽく、読むのを止めようかと思わせるくらいでした。
しかし、或る一点を突き抜けると、彼の自我(エゴ)ともいえる医者の本能というもので
説明されると納得できるようになってきましたから不思議です。
同様な反応していた主人公の周囲も同じでしたね。

難しい課題を背負う主人公ですが、最終巻あたりでは敵対してきた教授達が実は彼に
好意的だった等、スッキリとした完結で良かったと思います。

蔵書にして、この先何度も読み返したい作品でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-11-21 01:02:01] [修正:2015-11-21 01:02:01] [このレビューのURL]

6点 鋼鉄くらげさん

「自分の顔がアンパンで出来ているあの国民的ヒーローが、困っている人達へ何のためらいも無く自分のアンパンを差し出すことができるのは、パン工場で自分の顔を焼いてくれるあのおじさんが、代用品のアンパンを幾らでも作ることができるからこそ実現できる『善意』なのかもしれない」

そもそも臓器移植の何が厄介なのかというと、前述したようなお腹を空かした子供に自分のアンパンを食べさせてそれでおしまいなんていう、そんな単純な話で終わらずに、臓器を譲った提供者と、臓器を受け取った受容者の双方が臓器を担保としてお互いを新たに結び付け、これまでには無かった新たな関係性を生んでしまうことにあると考えます。

臓器提供意思表示カードに臓器提供の意思表示を示し、万が一、自身が脳死もしくはそれに準ずる状態になったとき、この臓器提供意思表示カードを見せることで、自身の臓器や皮膚、眼球などが重い病気に苦しんでいる人たちの役に立つことになる。一見するとこれは、素晴らしい話です。美しい話です。美談になります。しかし、これはあくまで「臓器提供者自身が自己完結できる部分のみを見ているから美しく見える」だけの話です。臓器移植の本当の問題は、「残された側」に生じます。例えば提供者の家族。どれだけ提供者が生前カードによって本人の意思を示したといっても、家族は常に疑念と罪悪感に苛まれ続けることになります。なぜなら、本人の口から最終的な意思確認を取ることはもう二度とできないからです。本人が一言でも「提供してもいい」と言ってくれれば、家族としても心に一切の蟠りを残すことなく、臓器提供の判断に踏みきれますが、当然のことながら臓器移植を決断する段階で本人の口からその言葉を聞くことは絶対にできません。

今回の脳死判定による臓器提供に限らず、前作の「がん編」でも末期癌患者の延命治療を望むかどうかという部分において、同じような問題は出てきました。つまり、本人の意思判断が喪失した状態で周りの人間は、どれだけ本人の意思を汲んだ決断をすることができるのか? という問題です。
「延命治療はいいから早く楽にさせてほしい」
「お金はいくらでも出すから出来る限りの延命治療を続けてあげてほしい」
今回の場合もそれは同様で、
「本人の意思に沿って臓器提供の手続きを進めてほしい」
「本人の意思には反駁するが臓器提供は行わないでほしい」
本人の意思を汲んでいるようで、実は自分自身の価値観や判断基準によって医療行為の方向性の決定意思を判断してしまう。それはとても残酷な決断であり、だからこそ普段「命」に関する方向性を絶えず判断している医師という職業は、とても大きな重責を担った職業だと思わざるを得ません。

「死」は突然やってくる。とはよく言われることですが、思うに「死」というのは、自分にとって「影」のような存在なのではないかと考えます。普段、自分の足元にある「影」という存在は、常日頃当然のようにそこに存在していますが、普段の日常生活でそれを強く意識して生活している人はほとんどいません。しかし、「影」は間違いなく今日も明日も明後日も、これから先、自分が死ぬまで確実に自分の足元に存在します。それはつまり、自分のすぐ足元に「死」という逃れられない運命が間違いなく存在していることの証左そのものではないかと考えます。

少し長くなりましたが、最後に、この作品のタイトルにある「ブラックジャックによろしく」の意味が、この「移植編」を読んで少し分かったような気がします。つまりは、技術さえあれば助かる命があるのなら、それを助けるのは医者として当然のことなんじゃないかと、それは言わば無償の善意であり、あの国民的ヒーローが差し出したアンパンそのものなのではないかと、そんなことを思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-07-27 22:43:24] [修正:2012-07-27 22:46:37] [このレビューのURL]

5点 DEIMOSさん

新と旧の違いに焦点を当ててみると、「新」の方は、「医者とは何か、という問題に懊悩し続けた主人公が、わからないなりにも一定の結論を出して自分の人生に結論を出す」過程を描く作品と言える。

実際、医者漫画といっても、新作の方で描かれるのは腎臓移植のトピックだけ。連載当初はどんどん新しい展開を用意して固定客をゲットしたらダラダラと話を引き伸ばして単行本の発行部数を稼ぐというのは漫画家・出版社の常套手段、という見方もできるが、人生の岐路に立った医者が悩む姿を丁寧に描いた、ともいえる。

恋愛の方でも、赤城さんが凡庸な人生に落ち着いたり、付き合っていた彼女とは別れてしまったりと、「リアリティのある結末」は「人生なんてそんなもんだよ」と言っているようで寂しい限りだが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-17 01:12:36] [修正:2011-04-17 01:12:36] [このレビューのURL]

5点 臼井健士さん

理由不明でモーニング連載からライバル雑誌に移籍して仕切り直しの「ブラック・ジャックによろしく」。

「新」が付いても、相変わらず斉藤クンは理想と現実のギャップに苦しんでいる。
新シリーズでは初っ端から私生活でも恋人の看護婦と「結婚」を意識させられつつも、どうにも煮え切らない態度しか取れない。
医師としても半人前の彼は、まだ夫となって1人の女性を幸せにしていく覚悟も、ましてや父親となるような覚悟も持てていない。

「理想」と「現実」とのギャップを意識して、その隙間を埋めきれずに苦しむ・・・なんてことは誰しもにあることで、別に斉藤クンに限ったことでは当然ないのだけれど、この漫画は「医療の最前線」が舞台なため、より雰囲気が重苦しくなる。
病状についての説明も淡々としており、逆にそれが恐ろしい。
読んでいる自分もその病気に身体を知らないうちに蝕まれているのではないか・・・?などという被害妄想がついつい働いてしまう。
「忍び寄るホラー漫画」と仇名したい。
ただ・・「絵」が下手になった・・・・・・普通は上手くなっていくのに・・。なぜ・・・・?

「爽快感」とは程遠い作風は読者にも作者にも「逃れ切れない現実の悲惨」を付き付ける。

くれぐれも「一刀両断易し」と思うなかれ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-18 12:39:25] [修正:2010-12-18 12:39:25] [このレビューのURL]

5点 bugbugさん

続編になるんですが
前作で掘り起こせなかった登場人物の描写を無理に描こうとして
少し、臭くなりすぎてる気がしました

説教が多い人情ドラマは、あまり長いと癇に障ってきますね

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-01-27 23:40:26] [修正:2009-01-27 23:40:54] [このレビューのURL]

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