この漫画のレビュー
7点 columbo87さん
諸星大二郎の傑作。伝奇モノであり、現実的でありながら濃密に非日常である世界観を確立させている。
ちっぽけな存在である少年武がアートマンに至る物語、どこまでも彼は自己から脱却することはなく、超自然的な存在になった部分は描かれることはない。
しかしてミステリーのごとくつづられるこの旅行記には、大いなる意思によって運命付けられた壮大なる秘密が隠されており、暗黒星雲から石造にいたるまでにちりばめられた痕跡には、諸星大二郎の想像力の奔流が感じられる。
どこまでも不気味で、しかしどこかノスタルジックで胸にくる、人間の原初的な部分を揺さぶる作品である。
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[投稿:2011-09-20 21:54:39] [修正:2011-09-20 21:54:39]