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5.8点(レビュー数:5人)

作者宇河弘樹

巻数9巻 (完結)

連載誌ヤングキングアワーズ:2000年~ / 少年画報社

更新時刻 2011-07-28 08:57:07

あらすじ 昔すんでいた場所に戻ってきた忠尋。幼馴染のもとに居候することになったが、次から次に忠尋を中心に異変が起きる。そして、彼は・・・

備考

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この漫画のレビュー

8点 ジブリ好き!さん

アニメ版の第一話無料配信を見たときは、あまりのつまらなさに絶句してしまったが、蓋を開けてみれば原作はこんなにも魅力的で練られた作品だったのかとまたしても絶句。

巫女ものに恥じず、日常パートのほんわかさを萌え画やデフォルメで描き、ひとたびストーリーパートに入れば墨で描いた劇画のような迫力ある画に変化。それがまた、妖怪のおどろおどろしさを際立たせ、シリアス調にも合っていて素晴らしい。
「ぬらりひょんの孫」もこんな感じの変化に富んだ画で妖怪ものをやっているけれど、画や雰囲気の変幻自在さはこちらが遥かに勝っていると思う。(ちなみに両者では妖怪の定義が異なっていて、「ぬらりひょんの孫」は目に見えた実体的なものだが、「朝霧の巫女」では実体ある「気」として扱われている)

キャラも決して多すぎず、各キャラがしっかり立っていて、見ていて楽しい。「巫女萌え!」と読み始めた人には凝り過ぎた内容だが、シリアスとの緩急もあいまって、萌え漫画として読んでもクオリティが高いと思う。パンチラは少なくエロシーンもないので、純粋にストーリー勝負してきているのもわかる。

さて、肝心のストーリーなんだけども、ごまあぶらさんの言うように間違いなくEVAを意識している。特に5巻の後半の演出法なんかは顕著。
EVAがキリスト教や聖書をモチーフにした洋の作品だとすれば、こちらは日本神話をベースとした和の作品。そのため日本の神話の知識がないと理解が厳しいが、加筆された6巻の冒頭で説明が入るので、めげずに読んでみてほしい。
6巻以降の忠尋は鬼太郎と目玉おやじ化してしまうが、そうなっても日常やギャグのノリは変わらない。

ストーリー・画ともに目を惹くものがあり、遠近感・見せ方・構図など表現法も素晴らしく非の打ちどころがないのだが、展開自体は巻き込まれ型やセカイ系に良く見られるものなので、食傷気味の方も多いと思う。
だけど5巻が余りにも素晴らしいので是非そこまでは読んでみてもらいたい。カラーページの素晴らしさもさることながら、幽世の世界観があまりに完成されていて凄すぎる。

短編集「妖の寄る家」での補完もお忘れなく。

(追記 7巻まで)

さて、7巻。残すもあと2巻ですが、皆様ついてこれましたでしょうか?
雑誌連載が終了し、収入安定のため単行本は守りに入るかとも思いましたが、杞憂でしたね。それどころか、結構な人数がここで脱落するのでは?
自分は古文に明るくないので、回想での会話はほとんど理解できませんでしたが、とにかく大局だけはと必死に読みました。アヤタチとククリの絆の深さ…これだけ理解できればとりあえず読めます。
ストーリー、知識、構図、そして画力…この作者、間違いなく、本物の天才。
ともすれば作者の陶酔と評されそうですが、話の大きな展開自体は見慣れた感じなのが救いですね。
脱落しないよう、どうにか喰らいつきながら、最後まで見届けたい。怪作。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-03 15:41:02] [修正:2011-02-10 00:43:21]

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