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7.44点(レビュー数:72人)

作者平野耕太

巻数10巻 (完結)

連載誌ヤングキングアワーズ:1999年~ / 少年画報社

更新時刻 2012-07-16 19:45:28

あらすじ 舞台は英国。吸血鬼退治を専門とする英国特務機関「Hellsing」の誇るヴァンパイア「アーカード」と反国教を掲げる吸血鬼たちとの戦いを描いた漫画

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HELLSINGのレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全72 件

10点 nur_wer_die_sehnsuchtさん

[ネタバレあり]

『ヘルシング』は途轍もなくいいよなぁ。
『ヘルシング』の良さというのは、一言で言えば「狂気」なんだよ。皆が狂気の中に存在しているわけ。その「狂気」が素晴らしくいいんだよな。

こういう言い方をするとどうかとも思うけど、創作の方法としてはシェイクスピアと同じなんだよ。つまり、ある一つの思想というものを多面的に表現しているの。
例えば『リア王』であれば、全ての登場人物がリア王という一つの崇高な人格を表現するための台詞になっているんだよ。『ジュリアス・シーザー』もそう。だからシェイクスピア文学というのは素晴らしいのな。一つの物語が一つの崇高を描くために全てが集約されているから。

平野の『ヘルシング』もまたそうなんだよ。それは昔ながらの「悪」というものなんだよな。
現代人って善は大好きで悪は嫌いなんだよ。でも本当の悪って実は物凄く魅力的なの。マカロニ・ウエスタンが大流行したのは、そういう悪が魅力だったからなんだよな。
『情け無用のジャンゴ』とかなぁ。棺桶ひきずって歩く主人公なんだよ。
『ヘルシング』ではみんな悪人なんだよな。しかも飛びっきりのなぁ(笑)。だからカッコイイんだよ。全員が狂気の中に生きているだろ?
聖職者だってそうじゃない。「狂信」という紛れも無い狂気なんだよ。だからいいのな。
生き死にを超えた何かでみんな生きている。だから他人の死なんて歯牙にもかけないよな。誰かが死んで悲しんでる奴なんて一人しかいないじゃない。

最初は婦警セラス・ヴィクトリアという現代的な正義が喪われるよな。そこからもう混沌が始まっているんだ。そのセラスも後半はぶっ飛ぶからあの凄まじいロンドンの崩壊がリアリズムをもって迫ってくるんだよ。チンピラのような小悪から一挙に巨大な善と悪の闘争になって行くじゃない。そこに絶対の善も悪も存在しないんだよ。ただ生の躍動というものの巨大な物語になっていくのな。

もう全てが現代民主主義に反するものなわけだよ。だから当然現代では「悪」ということになるな。しかし、そういう「悪」に対して誰も批判しない。敵同士であってもだよ。
例えばマクスウェル。あいつの狂気は神に対する狂信なわけだ。しかし同じ狂信であってもアンデルセンとは違うよな。何が違うのか。
それはアンデルセンが名声を求めずにひたすらに異教徒を潰す人間であるのに対し、マクスウェルは大分人間臭いわけ。しかしその人間臭さの向こう側に何があるのか、ということなんだよ。
マクスウェルは「異教徒狩」というものの拡大を夢みていた人間なんだよ。つまり現代的な名声を求めていたわけではないの。
だから大司教となって自分が軍団を率いることになり、彼は狂喜するんだよな。自分の夢が叶ったからなんだよ。
しかしアンデルセンはもっと深い夢を抱いているんだよな。それは神に仕えることそのものの歓びなんだよ。対してマクスウェルは神の力を振るうことで神の栄光を讃える道を進みながら、それを踏み外してしまった、ということなんだな。
まあ難しい言い方になってしまったけど、アンデルセンは死を望んでいた人物であり、マクスウェルは生を求めてしまった、ということなんだよ。

実はこの二人に投影されているものは、キリスト教の歴史そのものなんだ。キリスト教は初期には殉教を切望する宗教であり、それが拡大するにつれて神の代行者としての権力を希求するものにもなっていったわけ。
それが歴史的に繰り返されてきた宗教なんだな。宗教改革ってそういうことなんだよ。
まあ、マンガだから分かりやすいように無差別攻撃を始めたマクスウェルを誅する、という構図になってはいるんだけどな。
私はアンデルセンのような人物はもちろん大好きだけど、マクスウェルのような人物も大好きなんだよ。人間の持つどうしようもない悲しみの体現でもあるんだよな。

人間はあまりにも巨大なものを前にすると歪んでしまうことも多いわけ。中世までの神を中心とした思想が崩れてしまった背景に、私は巨大なドーム建築というものを考えているんだよ。つまり神を間近にしてしまったんだよな。
神の栄光を讃えるために巨大ドームを建築し続けた。まあビザンティン建築だよな。それが高まって、人間が巨大なことが出来ると錯覚してしまったんだよ。神を讃えながら神に近付くことが出来たと思い上がってしまったんだな。
恐らくは人間は歴史的に過去にもそういうことがあったんだよ。だからバベルの神話のようなものが書き残されているんだよ。
まあでも、自分が信ずる価値に生きて死ねば人間はいいんだから。正しいかどうかなんてことはどうでもいいんだよな。

また、あの少佐は明らかに作者の投影なんだよ。
要は人間とは戦争が大好きである、というな。戦争ほど楽しい祭は無い、ということなんだよ。
「皆そうだろ?」っていうのが平野の正直な気持ちなわけ。そしてあの狂気の連中は全員嬉々としてその戦争に自ら巻き込まれて行くわけじゃない。誰も嫌がってないよな?
皆が敵を「ぶち殺す!」ってなってるわけだよ。全員がそうだから、物語が物凄い加速をするよなぁ。
戦争が大好きだから、戦争をする。そういう単純明快な人物なわけ。だから相手を定めて、戦争をせざるを得ないように持って行くわけだよ。
大義は一切ないのよな。ただただ戦争がしたいだけなんだよ。だってみんな大好きなんだから、何が悪いってことなんだよ(笑)。
非常に素晴らしい男だよなぁ。
勝つか負けるかさえもどうでもいいのな。どデカい戦争になれば、それでいいだけ。そういうことも演説で言っていたじゃない。

戦争って異常に楽しいものなのな。
どデカい闘争をしたかったから、アーカードを標的に選んだんだよ。それに見合う戦力がないとそうならないから化物を兵站した、ということだよな。
しかし、己が化物になっては闘争を楽しめないんだよ。純粋にはな。指揮官は人間であらねば、真の闘争を楽しめない。
それはアーカードの台詞にも何度も出て来るじゃない。「化物を斃すのは常に人間である」というなぁ。よく分かっているんだよ。人間だけが生の躍動を感じられるわけだから。不死者になってはダメなのな。

この作品の本質って戦争讃歌なんだよ。命乞食の現代人を嘲笑っている作品なのな。ジワーーっと染みて生きてるような連中にはわからないものなんだよなぁ。近代以前の「狂気」は。
その現代人の反映がセラスだったわけだ。しかし最後はちゃんとキレるよなぁ(笑)。
要は、戦争は普遍的に楽しいってことなんだよ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-08-09 10:37:05] [修正:2019-01-23 01:10:59] [このレビューのURL]

10点 シンシンさん

良い点は台詞回しと絵がとてもかっこいいと言うこと。ここでのかっこよさとは中2病的なかっこよさを指します。他に緻密な絵の漫画は数あれど、ベタ塗りの高カロリー作画で劇場的な高カロリーな台詞回しで、でもくどく感じない、カッケーと思える、このような漫画は他にない。キャラクターの思想は一貫していて全員かっこいい。
紛れもない中2漫画の最高峰で一番好きな漫画の一つ。でもOVAはもっと面白い。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-12-27 10:11:27] [修正:2018-12-27 10:11:27] [このレビューのURL]

6点 チーズカバオさん

[ネタバレあり]

休載の多さとか、ページの少なさとか、後半のやる気のなさとか色々憤る部分はあるけど、やっぱり素晴らしいんだよね。8巻の途中までなら10点付けたいくらい。終盤のアーカードが◯◯るシーンも美しすぎるし。
だからこそ終盤のボス格キャラのやっつけ感が許せないから、意地でも高得点は付けたくない。可愛さ余って憎さ百倍ってヤツですな。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2018-10-03 21:30:35] [修正:2018-10-03 21:32:45] [このレビューのURL]

6点 トカレフさん

アクション系雰囲気漫画の代表格。

序盤のモダンホラーな感じから、中盤のおどろおどろしい能力者バトル的な展開は最高だが、アンデルセンが釘を使ってからの消化試合感が酷い。
特にウォルター関連や大尉関連。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-07-25 08:22:29] [修正:2016-07-25 08:22:29] [このレビューのURL]

一気読みしたので、軽く酔いました。

普通のストーリーを大袈裟に描いてるだけです。
アクの強い絵柄、独特のセリフ回しも自分とは相性がよくなかったようです。

狂ったキャラ達は別に嫌いではなかったですが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-11-13 19:57:21] [修正:2015-02-24 23:56:18] [このレビューのURL]

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