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7.58点(レビュー数:17人)

作者ジョージ秋山

巻数5巻 (完結)

連載誌週刊少年サンデー:1970年~ / 小学館

更新時刻 2010-10-04 12:36:59

あらすじ 家庭は極貧で、ろくでなしの父親は蒸発。貧しいながらも懸命に生きてきた風太郎にとって、心の支えとなっていたのは、優しい母親と風太郎に温かく接する近所の青年であった。しかし、治療費が払えない母は病死、自暴自棄になった風太郎は盗みに走り、それを咎めた青年を手にかけてしまう。

それを機に、風太郎の考えは大きく変わる。「銭があればいいのか」。風太郎は生まれ故郷を飛び出して成長し、偶然を装って大企業の社長一家に取り入り、陰で金銭の為に殺人を繰り返すこととなる。遂には、社長一家を死に追い込み、企業の乗っ取りに成功して、政界進出をも狙う。しかし、栄耀栄華を極めた風太郎は、誰もが予期せぬ末路を辿ることになる・・・。

備考 1970年、実写映画化。
2009年、日本テレビ系列でテレビドラマ化。

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この漫画のレビュー

9点 とろっちさん

黒い。醜い。泥臭い。だけどこれも1つの真実。
1人の男のとある信念を、見事なまでに徹底して描ききった傑作。
これを読むと、今の少年漫画が平和なものにしか見えなくなるかもしれません。
それほどに圧倒的な破壊力を秘めた作品です。

人の生命より、人の心より、銭を追い求める風太郎。
自分以外のすべてを蹴散らし、傍目から見れば大出世とも思える場所まで登りつめます。
だが、銭か貯まれば貯まるほど、彼の孤独感は増していきます。焦燥感が募っていきます。
そして彼の下した決断とは…。

「銭で買えないものはない」「銭こそが正義」という、言わば有史以来のテーマ。
しかしそれを極限まで突き詰めてみると、この作品のようにならざるを得ないということでしょうか。
痛々しく、激しく、狂おしいまでの人間の本性。
信念に純粋すぎるが故の苦悩。

作中の「人間の幸福について」の原稿用紙の上での展開に、そしてそのあと彼がとった行動に、
この物語のすべてが集約されているのかもしれません。
ラストに至るまでのあまりの凄まじさ。
ぜひ一度は読んでおきたい傑作だと思います。

編集者たちは読者である少年たちに何を伝えたかったのか。
当時の少年たちはこの作品を読んで何を感じたのか。
とりあえず、読んだあと心に何かが確実に刻み付けられることでしょう。
それが良いものかどうかはわかりませんが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-04-25 20:31:29] [修正:2010-04-27 02:29:47]

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