生徒諸君!のレビュー
7点 DEIMOSさん
誰にも好かれる理想的女学生像を凝縮した「ナッキー」及びそれを取り巻く友人達が、恋や友情に満ちた学生生活の中で喜び、悩み、苦しみ、そして、成長する姿を描いたヒューマンドラマ大作。
この漫画の凄いところは、とにかく「真っ直ぐ」なこと。心が薄汚れた人間や無理筋のご都合主義は皆無。単に、純情な学生が生活し、成長する姿を地道に丹念に描く。しかし、それこそがリアリティであり、人間だれしもが心の奥に抱く原風景を掻き立て、刺激する。
設定上のポイントは、「悪たれ団」という超「善玉」集団。ナッキーを中心とした、眩しすぎる学生たちは、先生の言いなりにはならず、自ら正しいと信じる行動をとる。そのはみ出し方が、性善説に基づいているので、読者にとって、描写が美しく、心地よい。ナッキーは、金持ち・頭良し・運動神経良し・性格良し・外見良しというどこか非現実的な女学生であるにも関わらず、そんな彼女が受難の末に成長を果たしていく様には神々しささえ感じるのだ。イエス・キリストのように―。教師は「聖職」と呼ばれるが、正にナッキーこそが理想の教師像なのかもしれない。
漫画文法的な観点から分析すると、少女マンガにしては、コマ割りがきっちり・はっきりとしていて、断ち切りやコマのぶち抜きシーンが少ない。また、内面描写シーンが少なく、台詞回しと絵によって話が進行する。よって、男性読者にとっても非常に読みやすい構成となっている。
アイディアやユーモアは平凡でエンターテイメントとしての面白味に欠くが、学生生活や教育が人生に与える意味を改めて考えさせる「影響力の重み」を持つ漫画であると言えるだろう。
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[投稿:2013-03-29 00:24:46] [修正:2013-03-29 00:24:46] [このレビューのURL]
10点 funkanimeさん
「寄生獣」がトータルランキング二位なら、この作品は少女部門で一位だと勝手に思ってました。レビュー数2とかあり得ません。どうしても読んでほしいので作品の評価と関係無いところも何でも書きます。
この作品を読んだキッカケは、恥ずかしながらネットで「読まずに死ぬな」という趣旨の人様の感想を見て、(そんなに良いのかよ)と半分疑いながら本を開いたわけで。
そしたらまず絵があり得ないくらい少女マンガ独特の絵で拒否反応を起こしつつ(大丈夫、きっと中身が面白いんだ)と言い聞かせながら読みました。
のつもりが、1,2巻読むともう普通に見れるようになっており、24巻中たぶん5,6回は泣きました。
主人公ナッキーの人の良さはマンガ界で1番だと思います。
とにかく騙されたと思って一回読んでみてください。読まずに死ぬと人生損します。
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[投稿:2010-11-24 18:59:21] [修正:2010-12-03 00:41:06] [このレビューのURL]
10点 臼井健士さん
1巻「あたしは以後あなたを先生と呼びたくもないし、あなたの顔など見たくもない」(ナッキー)
6巻「このまま…時が止まってしまえばいい。胸苦しくなるような自分の鼓動の中に浸っていたい。」(岩崎)
7巻「笑えばいい。いくら笑ったっていい。そんなものとうに覚悟ができている。だからといって俺の意志は曲げられない。」(岩崎)
10巻「みんないなくなっちゃうんだね。」「そうだな。」「百年も過ぎたらわいたちの誰もおらへん。」(ナッキー、岩崎、沖田)
11巻「俺は狭い!男として、人間として、俺は沖田に負けている!」(岩崎)
同巻「俺はもうお前を追わない…俺が俺に自信をつけるまで、俺が俺に資格を持たすまで!!」(岩崎)
13巻「あせるの、やめたんだ。」(岩崎)
同巻(山で朝日を見て)「ああ、ナッキーに教えてやりたい思うた。」(沖田)
15巻「俺は開き直ったんだろうか?」(岩崎)
同巻「どう話してもあたしたちの“あの時"をあらわせない。」(ナッキー)
16巻「じゃあおまえ、(岩崎にナッキーをとられて)ふられたらどうするんだ。」「かましまへん、そいつなら。」(クラブの先輩と沖田)
同巻「沖田…俺たちの愛はどこへ行く?」(岩崎)
20巻「人は生まれたときから確実に死に向かって生きてゆきます。そして一度しか生きられない。」(ナッキー)
学園青春漫画として出色の出来。キョンキョン(小泉今日子)主演で映画化もされたはず。
中学に転校してきたカリスマ美少女「ナッキー」が結成した「悪たれ団」も最初は反発する集団だった。
だが、ナッキーを中心に歯に衣を着せない「本音」で語り合うことによって彼ら彼女らはいつしか互いにかけがえの無い「仲間」となっていく。
とにかく「英雄のような女の子」とその周囲に集う仲間たちによる青春群像、というスタイルが痛快ですらある。単に「痛快」なだけの話なら他にも多くあるだろう。けれど、彼ら・彼女らの青春は等身大であり、仲間の少女が受けたレイプ・そして仲間の死と決して「輝かしい成功」ばかりに彩られているわけではないのだ。
「時代が移り変わっても色あせないもの」というのは必ずあるはずだ。この漫画も連載されていた時代を考えれば「隔世の感」を禁じ得ないシーンや描写はある。けれど、そこに生きて、悩み、苦しんで、ぶつかり合って涙を流した「思い」は時代を経た現代においても不変のものだと思う。
「少女漫画」などという枠に括って読まない理由にしているのだとしたなら、読後にそのことをこれ程に「恥じ入る」漫画も他にあるまい。評価は勿論「最高」以上で。
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[投稿:2010-06-18 22:05:32] [修正:2010-06-18 22:05:32] [このレビューのURL]
9点 こんなはずじゃさん
中学生の頃、全巻を徹夜で夢中に読みふけったのを覚えています。
丁寧に作られたストーリーで、喜あれば哀ありの人間ドラマが自然に織り込まれていて、大変好感のもてる少女漫画です。
絵柄もかわいいし、男女問わずオススメできる作品だと思います。
またこれほど号泣した漫画もいまだありません。
ただ悲しいストーリー、というだけでなく魅せ方が非常にうまいのだな、と感じました。
秀逸な作品です。
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[投稿:2009-02-09 14:48:51] [修正:2009-02-09 14:48:51] [このレビューのURL]