男子高校生の日常のレビュー
6点 景清さん
「女子高生とか好きだからー!!」 (あずまきよひこ『あずまんが大王』より)
いつからだろうか、読者が「別に萌え漫画で男キャラ必要ないやん」と認識しだしたのは。異性と絡んだお色気サービスやハーレム展開、ラブコメの添え物でなくともかわいい女の子キャラは漫画においてはそれだけで正義であり、スポーツ、格闘技、麻雀、ロックバンド、それらをただこなすだけでもそれなりの華やかさを飾ることが出来るという方法論の有効性は今や疑うべくもない。
いや、何もそういう特殊な活動を描かずとも良いのだ。かわいい女の子のどうってことのない日常を描くだけでも(程度の良し悪しはあれ)そこそこの人気は得ることはできる。
近年こうして女の子日常系漫画が一種のジャンルとして確立され、同時に男性キャラの楽園追放が進行しつつあるわけだが、本作『男子高校生の日常』は、何を血迷ったのかそういう主に女の子漫画で磨かれてきた日常系的な方法論を、男子高校生の世界に逆移植するという神をも恐れる所業の産物である。何という暴挙だろう。腐女子は別にして、誰が好きこのんで可愛げのない男子高校生どもの冴えない日常など敢えて漫画で見ようと思うのか?これではまるで進化の袋小路に陥ったアメリカのリアリティ番組である。
「ムッチムチの男子高校生!!なんだか楽しいようなそれでいて決して楽しくない響きですね」
「先生もそう思う」 (柴田亜美『かなぶん甲子園』より)
だが、その結果は予想以上に味わい深いものであった。本作は華のない男子校を舞台に、特に部活や恋愛に勤しむわけでもなく、それでも人並みに異性に興味はありバカを磨く時間と妄想力にだけは事欠かない男子高校生達のどうしようもない日常を、それこそどうしようもなさげに描いている。絵はラフでお世辞にも上手くは無い。ストーリー展開やオチのつけ方もかなり投げやりで完成度のバラつきは激しい。さすがに男キャラだけでは華がなさすぎるため同年代の女性キャラも度々登場するが、男子に輪をかけてバカで粗暴でサル山のサルのように描かれているため、恋愛フラグはことごとくへし折られる。とにかくドラマチックな大きな物語への発展を作品の持つどうしようもない重力が必死で拒否しているようでもある。また、リアルな男子高校生の日常と謳いつつも、決してリアルに描かれているわけでもない。(女の子日常ものとそこは同じである)
けれども、この落ち着きのなさに満ちつつも決して大事に至らない空気感がなんとも言えず懐かしく、楽しい。夕陽の河川敷で恥ずかしいセリフを呟いてたそがれてみたり、道端の棒切れからドラクエ的な大冒険を妄想して悦に入ったり、友人とラジオDJごっこをして収集がつかなくなったり、と本作で描かれる男子高校生達のまぬけな行動の数々にはどこかしら共感できるところがあり、かわいさなど微塵も無いにも関わらず、何故か萌えてしまう。別に萌え漫画は必ずしも女の子キャラでなければならぬいわれは無かったのである。
そういう痛々しいギャグだけではなく、2巻の通学バスの女子高生のホクロ毛をめぐるエピソードのように、ギャグを越えた清々しい一瞬、バカさの背後に見え隠れするほのかな矜持や優しさを捉えたエピソードもたまに挿入されて良いアクセントになっている。また、本作で一番かわいい女性キャラ(と思う)「タダクニの妹」が、あえて表情を伏せて描くことで超然とした存在感を放っていたりと、男子高校生達のまぬけっぷり以外にも注目すべき演出が散見される。
「日本男児の生き様は 色無し恋無し情け有り」 (宮下あきら『魁!!男塾』より)
こうして一見無謀に見えるトリッキーな題材を独特の空気感で描いて見せた本作は、作品の格こそそう大きなものではないが一つのエポックメーキングかも知れない。かつて同じ男子高校生であった者としてこのコンセプトは大いに支持したい。いや、同種の作品が量産されるのもそれはそれで困る気はするけど。
「感動したぜ 大概の女はこれでゲットできると思う!」
フッ
「うち男子校じゃねーかよ」 (山内泰延『男子高校生の日常』より)
ナイスレビュー: 6 票
[投稿:2010-11-07 23:53:18] [修正:2010-11-10 23:07:28] [このレビューのURL]
7点 鋼鉄くらげさん
どうやら最新の科学技術では、メス単体の存在だけで次の世代の命を作る事が出来るらしく、じゃあオスの存在理由って何なの? っていう疑問の答がここにあるような作品。
つまり、ある免疫学者の言葉を借りるなら、男っていうのはやっぱり「現象」だと思うんです。「現象」だからこそ必要以上にその存在意義を強調したくなり、見栄やプライド、あるいは権威と言った存在意義を主張できるようなステータスを持とうとするんじゃないかと、そう考える訳です。
あ、ちなみにこの作品はそんな高尚な漫画ではなく、男子高校生のどうでもいい日常を一話につき何ページとかでダラダラとやっているような物凄いユルい漫画です。
道に落ちている棒を見つけてRPGごっこをやり始めたりだとか、サッカーの練習で必殺シュートを編み出したりとか、ホント男子高校生ってしょうもない事ばっかりやってると思うんですけど、そういうしょうもない事を真剣に、しかも必死にやってる生き物が「男子高校生」なんだと、世の女性方に分かってもらえれば幸いです。
ちなみに、個人的に好きなキャラトップ3は、唐沢さん、りんごちゃん、タダクニの妹の三人です。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2011-03-10 23:03:02] [修正:2011-03-10 23:03:02] [このレビューのURL]
7点 ゴンさんさん
高校生なら誰でもありそうな行動、そんなことをシュールにおかしく描いた作品です。
文学少女が一番笑えました。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2015-09-06 03:07:40] [修正:2015-09-06 03:07:40] [このレビューのURL]
5点 torinokidさん
面白いと言えば面白いような気もするが
くだらないと言えばくだらないような気もするマンガ。
ただのグダグダマンガと言われればそんな感も否めないし。
とりあえず「ツボに入る」かどうかで大いに評価が分かれる感じ。
「味があるマンガ」っていうのが穏当な評価かなあ。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2015-01-17 14:23:25] [修正:2015-01-17 14:23:25] [このレビューのURL]
8点 gazetterさん
アニメから入ったのですが漫画もおもしろかったです。
アニメの方が躍動感があって作画もいいので漫画の方が低く感じますが、普通の日常ギャグ漫画として良作だったと思います。
テンポがいいし、スラスラ読めるので読みやすいです。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2013-08-15 23:29:40] [修正:2013-08-15 23:29:40] [このレビューのURL]
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