エイリアン通りのレビュー
6点 とろっちさん
時代の空気をはっきりと色鮮やかに切り取った作風が印象的。
当時のエポックメイキング的な作品であり、80年代を代表する少女漫画の大ヒット作です。
少女漫画で男の主人公というのも珍しかったと思いますが、単なる白馬の王子様、という訳ではなく、
格好良いけど気さくで破天荒で、人間味があって、でも実はやっぱり某王家の嫡男で、
なんていう主人公像は、この作品のヒットを機に広まったとのこと(本当かどうかは知りません)。
まあそれはさておき、明るく楽しく元気よく、シリアスもギャグも良質で、心理描写にも長けた、
実にバランスの取れた作品であることは確かです。
これより以前の少女漫画にあるような重さ、堅苦しさ、ある意味「乙女の世界」の面影は微塵もなく、
男性にも読みやすい作品だと思います。
中東、イギリス、フランス、日本。
アメリカにとってのエイリアンである移民たちが、見知らぬ土地であるLAで出会います。
でも彼らは移民であり、いつかは本国へ帰郷しなければならない。
この楽しい時間は今だけ。このひと時はもう戻ってはこない。
最初から別れを前提とした出会いのため、あまり深く踏み込まないようにする…、のではなく、
限られた時間だからこそ、その時を大切にする。 その出会いを大切にする。
明るく楽しく元気よく、の裏に込められているのは、そんなシンプルなメッセージ。
何かこういう雰囲気の漫画って食傷気味だな、なんて思っていたのですが、
この作品に追随する多数のフォロワーのおかげで、既視感を感じてしまっていたのかも。
うまくまとまった良作であるとは思うのですが、個人的な思い入れが足りない分、
そこまで特別な作品には感じられませんでした。残念。
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[投稿:2010-07-13 23:37:13] [修正:2010-07-13 23:45:23] [このレビューのURL]