「nivea」さんのページ

総レビュー数: 3レビュー(全て表示) 最終投稿: 2014年07月11日

6点 OZ

近未来SF+軍事モノ+恋愛+サイコサスペンスというてんこ盛りな要素が複雑に交差することで生まれるヒューマンドラマを、テンポのよいストーリー展開で見せて行くという、まるで1本の映画のようなエンターテイメント作品です。

ご都合主義の大味な展開は山盛りにせよ、大テーマに最後までブレがないので一気に読めるし、少女漫画というカテゴリーの中では比較的骨があるストーリーと絵柄で、この作品で一気にこの作者のファンになりました。

が、テーマが壮大過ぎるためなのか本筋から派生する一つ一つのエピソードとキャラ設定が多少お粗末な印象も。物語の重要なキーワードの一つである「パメラプログラム」のエピソードの終結があまりにも不完全燃焼だったし、ザ・悪役であるリオンのサイコっぷりも中途半端。そんな理由だけでヒューマノイド作っちゃう?!という。

また、ヒロイン・フィリシアとその実姉であり恋敵でもあるヴィアンカの、意中の人でありこの物語の主要キャラであるムトーをめぐる恋のバトルもなんだか尻切れ。

なので、ヴィアンカが絡むすべてのエピソードが付け足し感たっぷりに感じてしまい、あまり生きなかった印象がありました。良いキャラだったのに。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-07-11 06:10:11] [修正:2014-07-11 06:10:11] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

仕事に恋愛に悩む、コック志望の主人公・百恵を中心繰り広げられる長編漫画。お料理が題材ですが、あくまで「主人公が料理という仕事を通して成長して行く様」がテーマ。槙村さとる氏が描く長編ストーリーマンガはいつの時も、その都度キャラやテーマ、ストーリー展開こそ違えど、「少女が苦悩と葛藤の末に成長し自立する姿」がとても丁寧に描かれています。

最初は1話完結のお料理バトル漫画といった風でしたが、百恵が憧れ従事する天才シェフ・織田の恋人である可奈子が出て来るあたりから、恋愛ドラマの色がどんどんと濃くなっていきます。百恵の失恋というカタチでこの恋愛騒動がいったん収まると、次は百恵のライバルとなる日比野ミキの登場。仕事に関してプロフェッショナルな彼女の出現のおかげであやふやだった百恵の方向性がビシっと決まり、「仕事人」として少しずつ成長していきます。また、全編を通して迷いがちな主人公の尻を要所要所で叩き、ピリっと話を引き締める千代ばあの存在も爽快。

百恵が基本的に前向きであまり悩まないキャラ設定なのでどうしてものんびりムードのストーリー展開になってしまい途中たびたび話が停滞してしまうのですが、この可奈子・ミキ・千代ばあという3人の女性キャラに関わるごとに百恵が岐路に立たされ、そのおかげで話が前にぐいっと進みます。

残念なのは、中盤まではとても丁寧に描かれていたにも関わらず、話の結末の仕方があまりに急展開であっけなさすぎた事。広げすぎた風呂敷が収集つかずとりあえずバタバタと畳んだというような印象があります。また、それぞれのキャラが持つエピソードにリアリティがあまりなく、多々違和感を感じる部分も。このリアリティのなさこそが槙村マンガの特徴なのですが・・・。

このリアリティのなさを最も多く感じたのが、主人公である百恵。育ちが良くて明るく素直ないい子という設定なのですが、「いいコだからってそれは許されるのか?」と思うような、一般的には理解されにくいエピソードが満載です(例えば百恵と高橋との関係性等)。

また、最終的には織田と百恵が恋人同士になるのですが、それに至るまでの心情の変遷がどうにも描写不足。晴れて2人の気持ちが通じ合うシーンでは「え?なんでここでいきなり恋が実るの?」と違和感たっぷり。人は果たしてあのような会話で意思の疎通ができるものなのか。

織田というキャラが「孤独な天才肌の料理人」という特徴のみに終始しており、人となりや魅力が伝わりにくかったのも残念な部分です。どちらかと言えば織田と双肩をなす天才シェフ・高橋のほうが作者はお好きだったようで、ストーリー中盤までは高橋の人物像や才能などが他の誰よりも魅力的に、バックのお花・ページ数共にたっぷりと描かれています。ですが終盤では織田の恋人・可奈子の活躍(?)に押され、残念ながら高橋は蚊帳の外。

この可奈子、美貌と才能に恵まれているにも関わらず不幸癖があるというか、とにかく苦悩と煩悩に満ちた人で、この漫画の中ではいわば悪役的な部分を担っています。ですが他のキャラが浮世離れしている分だけ余計にリアリティあり、共感しやすい人物像だったように思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-07-11 05:59:23] [修正:2014-07-11 05:59:23] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

ド級セレブの美形男性キャラに愛されまくる超ド級セレブの少女が主人公という、いかにもザ・少女マンガ的な夢のような設定。

ですが、「ラギネイ」という仮想の一小国の政変劇がストーリーに絶妙に絡まり、ただの恋愛モノに収まらず、読み応えたっぷりの重量感ある展開になっています。ところどころに張られた伏線も最終的には収まるところに収まっており、ご都合主義な展開は山盛りにせよ、テンポが良いので読み終えた後には爽快感が残ります。

樹なつみさんが描く作品はどれもドラマティックなストーリー展開と女の子ウケする美形男性キャラ満載で、まさに宝塚歌劇でも見ているような陶酔感に浸れます(ご本人も関西出身とのこと、宝塚お好きなのでは・・・と勝手に推測)。中でもこの作品は「OZ」「獣王星」と並んで何度読んでもまた読みたくなるので、愛蔵用にと文庫版を購入しました。頭の中をからっぽにして読めるエンターテインメント作品です。

ただ、本当にこの方は魅力的な女性キャラを描くのが苦手なご様子です。どの作品中の女性キャラも、男性キャラに翻弄されてアタフタする「ちょっとバカで存在感の薄い女」的に描かれていて・・・(この作品の主人公の少女だけは別ですが、彼女はどっちかと言えば少年的な中性的キャラ設定なので別扱い)。

そのあたりも、ホントに宝塚的な娯楽作品だなあ、と感じる所以です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-07-11 05:02:58] [修正:2014-07-11 05:02:58] [このレビューのURL]

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