「kikumasa」さんのページ

総レビュー数: 2レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年07月16日

女子高生、元郵便局員、警察官、米国大統領、総理大臣、ハンターなど様々な人々が登場し、一人ひとりのエピソード、物の考え方、世界観などは皆強烈で個性的である。様々な強烈な個性を持った人々の世界観が複雑に交錯するため、この作品は過剰なエネルギーに満ちている。その上、この作家の絵による性描写・暴力描写が作品全体の過剰なエネルギーに拍車をかける。

一人ひとりのエピソードにどれか一つでも自分の琴線に触れるものがあったら、それだけでこの作品は読むに値するものになるだろう。これだけ多くの世界観・価値観を提示した上に、エネルギーの過剰さ・世界観の複雑さを最後に(賛否両論はあるが)収束させたのは見事である。ストーリー全体に溢れる過剰なエネルギーを許容できれば、ラストは良く分からないにしても「凄い」と思えるのではないでしょうか。

逆に、過剰なエネルギーに辟易してしまうと、単に不快な作品という印象のまま読み終わってしまい、ラストも「わけ分からん。」で終わってしまう。

この作品が賛否両論なのは当然でしょう。作画はとっつきにくいし、全体を通して抽象的な感も否めない。作画も含めた過剰なエネルギーを許容できるか否かで評価が全く変わってしまう。ザ・ワールド・イズ・マインを読んで強く感動できる人と全く受け付けない人のどちらが偉いということではない。

私は読後に快く世界観に圧倒され、存分に楽しむことができました。しかし、3巻くらいまで読んで受け付けられないという人は読まない方が良い気がします。それ以上読んでも不快になるだけかと。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-12-16 19:14:35] [修正:2007-12-16 19:14:35] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

長くなってしまいました。すいません。

一、実績は無いが、ずば抜けた特殊能力を持った主人公が素晴らしい仲間と成長していき、急に強豪校をどんどん破るチームになる。
二、試合展開は主人公の投手を中心にピッチャー対打者という1対1の対決を主軸に描く(良くも悪くも)少年漫画ウケする構図を採用。
三、守備位置と打順との関連性を受けながら個性的な登場人物を描けるという野球マンガのアドバンテージを活かし、脇役の人物造形を行う。

これら3つの特徴は今までの野球マンガで幾度と無く取られてきた手法である。
「新しい野球マンガ」と聞いたとき、これらの特徴を打破する作品が現れたのかと期待したが、見事に期待はずれでした。

 主人公のキャラクターが今までに無いというが、どのマンガでも主人公のキャラクターは違うのだから、特筆すべき新規性ではない。主人公が投手というのは野球漫画の王道。
 更に、他のレビューで述べられているように、脇役の描写には失敗している。魅力的なキャラがいない。
 メントレについて詳述してる場面は「新しい」と言えそうだが、私にとってはだらだら説明を読んでいくのが苦痛でした。(この辺の感じ方は個人差があるが)
 配球の読み合いや心理戦については、ちばあきおが過去に試行済みの手法。
 だいたい、メントレはやたら説明してるくせに、実際の技術については一切触れてない。何で一年生があんなに守備も打撃もソツなくこなすんだ?高校球児なのに坊主じゃねえのか?

 こっから先は愚痴です。
 いい加減、高校野球を美化するのを止めろ。「純粋無垢な球児」も「ひたむきなプレー」も確かに存在する。しかし、その一方で喫煙やキセルで問題を起こす球児も沢山存在する。そして、問題を起こし、練習も不真面目な生徒が結果を残すという事例も山ほどある。
 この辺のことはマスコミでも何回も取り上げられている。皆知っているはずなのに、何故高校野球は神聖視されるのか?
 勤勉実直な生徒もいれば、ロクでもない生徒もいる。この実態は普通の高校生となんら変わりない。なのに高校球児は「特別」とされる
普通の高校生を、野球をやっているというだけでエライみたいに賞賛する風潮にもうウンザリです。この作品を読んでそんなことが頭をよぎり、不快になってしまいました。

と、さんざん文句を言ってきましたが、
(世間の評価は明らかに過大評価としか思えないにしても)鑑賞に堪えない作品では無い。このくらいが妥当かと

ナイスレビュー: 3

[投稿:2007-07-16 03:51:22] [修正:2007-07-16 03:51:22] [このレビューのURL]