「ブリキの金魚」さんのページ

まず、大変残念な事にこの作者と「笑い」の感覚が違います。クスりともきません。

しかし、この漫画、強烈です。
「愛」だの「友情」だの「正義」だの、確かにそういった話も盛り込んでいますが、この作品の核は『欲求』だと思います。しかも、性欲に焦点を当てています。結果、性描写が多いとか気持ち悪いなどと敬遠されがちです。(実際、自分も性描写の多さと独特の絵柄と「笑い」の感覚が違うギャグに拒否反応が出て何回も1巻の途中で断念しました。)

でも、この漫画の核心と思われる『欲求』に気付いてから自分のこの作品に対する評価が一変しました。美しいものに群がる心の弱さ、権利を振りかざす醜さや、政治の世界まで、人間の果てしない『欲求』の比喩表現として性描写が使われている、エポックメイキング的漫画です。

あとは、話の内容の構成力の高さもさることながら、この世界観。バーチャSEX、M型遺伝子理論、デザインヒューマン、アルカディアの設定等、漫画の中の仮想世界を構築する構想力がとても緻密。この作品の良さに気付く事が出来て良かったです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-04-23 07:16:45] [修正:2011-04-23 07:49:32]

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