「ブレードランナーズ・ハイ」さんのページ

当時の読者や今の漫画・アニメ業界で活躍するする人たちに多大なるトラウマを与えたであろう伝説の漫画。

永井豪の恐ろしさは、倫理観や理性を無視した超展開がノーモーションで飛び出ることにある。インタビューでも自ら語っていたが、おそらく永井豪はこの漫画を描き始めたとき、細かなことは何も考えていなかったと思われる。
グロテスクな表現はこの人の持ち味みたいなもので最初から頻繁に使われるが、作品全体としてはギャグを取り入れつつもあくまで古典的なダークヒーローものの漫画を描くつもりだったのだろう。

しかし一度ぶっ飛んだ展開を思いついたら、強引だろうが狂っていようが躊躇なくその方向性で物語を持っていく。たとえそれが、アニメも放送している人気作であってもお構いなしに、本能の赴くままにだ。

もちろん読者は予想を上回る展開に驚愕させられるわけだが、そのパワーとインパクトがこの漫画を伝説の名作へと押し上げた。
このような破壊力のある漫画は今後登場することはないかもしれない。
描ける漫画家もいないだろうが、仮にいたとしても一般に受けいられるとは思えない。

昔に比べて、読み手のキャパシティも作り手の能力も、今の時代は洗練されすぎてしまったと思う。

まだ読んでいない人は、漫画の表現も作者の本能も全てが無修正で出版することが許された時代の傑作に心酔するべし。

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[投稿:2011-11-18 12:38:03] [修正:2011-11-19 12:32:46]