「とみー」さんのページ

 典型的なラブコメである事は否定できない。主人公はやたらもてるし、やたら都合よくおいしい目にもあう。

 しかし、この作品にあって、多くの他の作品にはないもの。それはリアリティ。何もストーリーに完璧なリアリティがあるとは言わないが、主人公である高校生一貴の精神が非常にリアルに感じられる。
 典型的ではあるが、愛情と高校生特有の性欲と理性とのジレンマ。そして、終盤での、自分に将来の夢がないことをコンプレックスに思い、思い通りにならない恋愛にもがき、それでも必死で相手の事を思いやる心。
 この世の中に、将来の夢を明確に持ちそれに向かって突き進んでいける人や(いわゆる遊びではなく)本当に愛する人との恋愛を何の苦悩もなく続けられる青年がどれだけいるというのだろうか?
 これが私にはこの作品がリアルだと感じられた理由である。

 それゆえ、冷めた高校生活を送った(もしくは現在進行形な)人、まだ人を本気で好きになることを知らない中学生には、駄作にもなりえてしまうでしょう。

面白いと感じるか否かの差は主人公に読者がどれほど感情移入、感情理解ができるかだと思う。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-01-21 01:03:43] [修正:2007-02-03 22:23:51]