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6.8点(レビュー数:10人)

作者花輪和一

巻数1巻 (完結)

連載誌アックス:1998年~ / 青林工藝社

更新時刻 2009-11-25 06:27:26

あらすじ 銃砲刀剣類等不法所持火薬類取締法違反で執行猶予なく懲役3年の刑を受けた作者の留置場および刑務所体験漫画。

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刑務所の中のレビュー

点数別:
6件~ 10件を表示/全10 件

7点 kenkenさん

刑務所という環境の中を描いてあるはずなのに妙にほのぼのしています
でも囚人達にとって幸せの対象も不幸せな対象も異様に小さなこと、外ではなんでもないようなことでも喜んだり狂ったりしているのを客観的に描いているのは軽い作風だけど「怖い」と感じました
かつての花輪作品の猟奇的な怖さとは違った怖さです

一読して損はない作品です

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-11-06 09:46:05] [修正:2008-11-06 09:46:05] [このレビューのURL]

7点 リヴィエラさん

一日刑務所ご訪問!

まずタイトルに惹かれて読んでみた。
損はしない。刑務所の中のことが少し分かったような気になれる面白い漫画だ。
ただあまりにも刑務所の中の生活が辛そうに見えなかったので、シャバに出ても刑務所に戻る為に犯罪を犯す人のことが、「これじゃあ仕方ないよね。」と思ってしまったことがどうも…
むしろ刑務所内は天国さぁ!!


でも自分の考えていた刑務所内の想像と作品内での事実。そのギャップ。
そこがまた面白く感じさせてくれる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-23 23:40:15] [修正:2008-08-30 00:26:31] [このレビューのURL]

9点 ほげさん

[ネタバレあり]

刑務所の中における生活を描いた芸術作品。
こう聞くと,あなたは何を思い浮かべるでしょうか?
刑務官による受刑者への暴行,それに対する抗議。
いわば,芸術を通じて刑務所を左翼的に社会化する発想。
あるいは,刑務所の中において通読することが可能な文書類によって得た知識を元にして,文盲の人間が文学作品を昇華していく。
読者にしろ,批評家にしろ,彼をとりまく「読む者」は,一人の受刑者を作家たらしめていく。

しかし,そうした芸術作品は,我々の心に響いてくるかもしれないが,既にありふれてはいないか。
刑務所と芸術。
そうしたインパクトのある対象を芸術家するという発想は,既にありふれてしまっている。
僕なども,リストカットや売春,麻薬,覚せい剤,バイオレンス,殺人などのモチーフがある芸術作品を,衝撃を求めて摂取してきましたが,もう飽きてしまいました。
なんというか,主人公をダークな方向へと引き寄せ,特殊化していくという芸術表現にうんざりとまではいかないまでも,うざったくなっちゃったんですね。
「ナニナニ?そんなに共感してもらいたいのあなたは?」などと悪態めいた戯言をうそぶいてしまいたくなるほど,主人公の特殊化はありふれてきた。
結局,特殊化することが目立ちたがり屋へと転換するように受け手の僕は感じちゃうわけですね。
でもやっぱり対象としてダークなものはみたくなる・・・

そんな矛盾した状態の中で悶々としていた中,ふと手に取った漫画が,この『刑務所の中』なんですよ。
刑務所に受刑者として拘置された漫画家の手になる漫画作品。
一見,上記の例に通じるような気がします。
でも百聞は一見に如かずのことわざ通りなんだけど,刑務官の暴力はでてこないし,そもそも作者の国家への反抗的精神がまるででてこない。
自殺しちゃった小説家・見沢知廉がそうなんだけど,自分で人を殺しておきながら受刑者になってみれば行政がうざいと思う精神がでてくるのが普通でしょう(彼の場合拘置されていたのが12年とわりと長い期間だったからというのもあるし,元々が資本主義的無政府主義者だから)。
行政と個人という対照的関係ではなく,まさに漫画のタイトル通りの刑務所の中における個人の生活というのが,この漫画のスタンス。
朝何食ったとか,刑務所での風呂はこうして入るとか,身辺雑記的な描写が羅列されている。
花輪独特の緻密な描写で刑務所の生活を描いているから,過激なイベントがまるでないにもかかわらず,なんだかすごくドキドキしちゃう漫画なんです。
描き方は極めて静謐で何が起こる訳でもない。
三年間の拘置生活が楽だったはずはないが,のんびりとした,いかにも勤め人にはできない根無し草の芸術家らしい創造へと転化させようとする引力によって漫画が描かれている。
だから,物語も起こらないのだけど興味深く読めるし,こういう表現で刑務所を舞台にした芸術もありだなーと思っちゃう。

この作者・花輪和一という漫画家は,モデルガン集めが高じて,銃刀法違反で逮捕されることになった訳なんですが,基本的に趣味に生きる人なんだなあと感じますね。
僕は趣味より経済ってタイプなんで,とても花輪のようには生きられませんが,カネはなくとも被扶養者はいないし,好きな芸術で食っていけるという人生は,「if」的な世界として憧憬したい部分はありますよね。
もし人生を何回かやれるんなら,花輪的な生き方っていいなーと思っちゃう。
そもそも黒田硫黄とかつげ義春の漫画が好きっていう僕の嗜好自体が,そっちへ憧れだけはあるってことなんですがね。

みなさんも,結構固いお仕事されてたり良い学校通ってたりするんだと思うんです。
でもねー,たまにはコッチ系にこない?って,刑務所というダークなものが手招きしてることをお忘れなく。
こっちもどっぷりつかって,疲れない程度には表現も物語もゆるゆるですから何も心配なしです。
一度刑務所に入ってみるのも悪くねえなあと読後に思わせるほどの,花輪和一の世界を楽しもうとする姿勢を感じられるいい漫画です。

余談ですが,この漫画,無能な映画監督によって映像化されているけれど,漫画の味が全然分かってないので観ないほうがいいです。
この人,最近も高名な娯楽小説を映画化して,個人的には噴飯の作品にしました(こんなのを,日本の映画界も批評家も賞賛しちゃうんだよね)。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-10-09 15:44:00] [修正:2006-10-09 15:44:00] [このレビューのURL]

6点 noriさん

作者が自分の監獄生活を漫画にした作品。
刑務所の日常生活がどんなものであるか知っている人はごく少数だろう。
だがそれがどのようなものなのか興味があるという人は大勢いるはずだ。
この漫画はそんな好奇心を満たしてくれる。
軽いノリだからこそリアルさがもろにつたわってくる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-05-05 21:34:34] [修正:2005-05-05 21:34:34] [このレビューのURL]

7点 tamoriさん

数年前に映画化されたので知っている人は多いのではないだろうか。
刑務所内にスケッチ道具があるわけでもないのに、衣食住の細部にわたる驚くほど緻密な描写は圧巻。
実際に読んでみると、刑務所暮らしが極端に辛いものではないことがわかる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-05-05 16:57:36] [修正:2005-05-05 16:57:36] [このレビューのURL]

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