ラヴァーズ・キスのレビュー
6点 Scroogeさん
美形高校生たちの切ない恋を描く漫画。
登場人物たちは早い段階で恋をした状態で、
報われない恋の辛さをじっと耐え、あるいはその辛さを友人たちと分かち合う。
よくできた話でキャラも立っている。絵もいいし良い漫画ではある。
その上で文句をつけると、キャラクターに感情移入しにくい。
恋模様の中心にいるのは藤井トモアキ。
高校三年生、サーファー、美形、金持ちのボンボン。
夜遊び、女遊び、波遊びと放蕩しているようだが、実は頭も性格も良い男。
共感できない。嫌いではないが、自分と共通点がなさすぎて内面について想像がつかない。
周囲の人間が男も女も彼に惹かれていくのを見て、描かれてないエピソードがあるのだろうなぁと想像するのみ。
その他のキャラクターについても、うーん?という感じ。
話が駆け足で進み、読者との共通体験を提示するような描写がほとんどない。
好きな人と両思いになれない、だから辛いです、でも友達はいます、というだけでは説明的に過ぎる。
疎外感を持ったまま彼らの喜怒哀楽を読み進むのは、
相互に承認しあったり、自己憐憫している子供たちを見物する感覚に近い。
物語としてはちょっと楽しみが足りない。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2012-12-19 21:52:36] [修正:2012-12-19 21:56:47] [このレビューのURL]
8点 ITSUKIさん
この作品は全2巻と短いですし、是非一気に読まれることをお薦めします。
何故なら、作品に対する印象が変わるのはきっと2巻を読んでからだと思うからです。
それは同じ時系列を違う登場人物の視点から3度描くというこの作品の構成からきています。。
それぞれ叶わぬ恋をしているなどの秘密があり、最初のストーリーではわからないキャラの行動原理が次の話で明かになるなど読み進める程内容に深みが増していきます。
最終的には青春群像劇として素直に良い作品だったと思えました。
絵は特段自分の好みではないのですが、読後のすっきりした感じが良かったです。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2010-10-27 21:44:44] [修正:2010-10-27 21:44:44] [このレビューのURL]
8点 とろっちさん
結ばれた恋、重なる想い。 片道の恋、届かぬ想い。
キスに込められた、それぞれの想い。
キスに彩られた、それぞれの想い。
1つの時系列を、3組それぞれの視点で異なった角度から3回描いた、3通りのストーリー。
同じ場面でも、自分がどの視点に立っているかで、印象が全く違います。
何度も同じ場面を見させられるのではなく、違った角度からそれぞれの心情を深く味わう感覚。
登場人物の気持ちが交錯する濃厚な心理描写と、淡白なようで鮮やかな情景描写が、何とも秀逸。
1回読むよりも2回目の方が、2回目よりも3回目の方が、ずっと心に届く作品です。
その時のBGMはもちろん「Je te veux」と「Tempest」。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-06-23 20:01:33] [修正:2010-06-23 20:01:33] [このレビューのURL]
9点 松本さん
設定に非現実さがあるのだが、テーマの核を表現するためにはしょうがない気もする。
吉田秋生の作品は感じてから考えるべし。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2006-11-21 05:25:13] [修正:2006-11-21 05:25:13] [このレビューのURL]
9点 白い犬さん
登場人物全員が誰かを好きになり届かぬ思いを心に秘め
そしてその想いがかなっててかなわなくてもキスという形で
物語がつづられていく。
人を好きになるのは(想いが遂げられなくても)素敵なことだと
思わせてくれる。
それとこの作品から私が知ったことは物語とはけっして
「長さ」ではないということ。
何十巻のダメ大河漫画もあればこのラヴァーズ・キスのように
2巻だけで心の「本質」を教えてくれる漫画もある。
漫画は量ではない、質なのだ。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2005-12-28 14:05:09] [修正:2005-12-28 14:05:09] [このレビューのURL]
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