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7.38点(レビュー数:13人)

作者安達哲

巻数3巻 (完結)

連載誌週刊ヤングマガジン:1991年~ / 講談社

更新時刻 2010-10-05 17:03:11

あらすじ ちょっと絵が得意なことくらいしか取り得のない暗い少年、市ノ瀬利彦が、クラスで一番可愛い仲村真理と仲良くなっていくのだが、権力者である叔父の金春に市ノ瀬が後継者に選ばれてから、すべてが破滅に向かっていくのであった。

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この漫画のレビュー

8点 ヨノナカさん

青春は決して明るくない。暗く苦しく愛おしいと言ってくれた数少ないマンガ。

私は青春とか思春期とか言う言葉が昔から大嫌いで、保健体育のテストの「思春期」という回答をかく欄を空白のまま提出にした記憶があります。当時の自分は精神的に不安定で、本一冊買うのに汗が止まらず、視線恐怖で街中を歩けなかったりしました。

12歳から20になるまでの時期は、いまだに思い出すと苦しいことがたくさんあります。あのころは、つらく、暗く、苦しい毎日でした。「春を思う時期」なんて呼び名は、つけた人間がよほどブラックユーモアが好きなのか、それとも相当ハッピーな人生を送ってきたやつに違いないと思っていましたし、今もそうです。

誰もがみんな「青春はすばらしい」と、「若いというのはすばらしい」と、諸手を挙げて賞賛します。ドラマでは恋をしていて、ニュースでは部活動に明け暮れていて、また友人に囲まれている。それがあるべき理想の青春。明るく、楽しく、甘い時代。
しかし私はその多くを得ることができないままでした。自分が決してそのような青春の表舞台に立つことはないと、「あぁ、俺は間違っていたんだ」と漠然と感じていました。そして、皆さんもそうだと思います。多くの人がつらく、苦しく、暗い時代をすごしてきたのだと、青春とはそういうものだったんだと、やっと知ることができたのは、さくらの唄を読んで、そして社会人となった今だったりするわけです。

この作品では、およそ青春と呼べない話がいっぱいです。恋と老獪と性と金と憧れと堕落と生きた証が詰まっています。これだけ言えばレビューとしては十分なくらいです。それだけ、詰まっています。荒削りで、偶然できたとしか言いようのない作風も、ここまで決まれば誰か神様が手を加えたんじゃないか、という感想も出てくるというものです。


あ、そうそう、今になって思うことはやっぱり私のあのころは青春だったんだな、ということですね。仕事帰りのマンガ喫茶で今そう感じています。よく生きた。よく生きろ。仕事もがんばれ。明日は休み(^^)

さぁ、くだらない青春の話でもいかがですか。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-06-10 03:10:13] [修正:2007-06-10 03:11:20]

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