あらすじ
佐藤大輔著の同名小説『皇国の守護者』が原作。サーベルタイガー・天龍などファンタジー色強い戦争物。が、内容は既得権益を守る為に足を引っ張り合う権力者や決して一枚岩ではない軍隊など、非常に現実的(というか生臭い)でもある。時代設定としては十九世紀ごろ。蒸気機関が発明されてから約二十年が立つ。
【大協約】という人と龍が交わした契約が、世界秩序を為す世界。そこに存在する小国『皇国』と、その皇国に侵攻してきた世界最大の大国『帝国』との戦争が主な内容だが、そこに皇国内での覇権争いや経済問題、政治も絡めて描いてゆく。主人公は帝国との決戦に敗れた皇国が敗走する中、運悪く遅滞戦を命じられた皇国軍人・新城直衛。実験部隊でもある剣牙虎部隊を率い、新城は絶望的な戦線にその身を投じてゆく…。
この漫画のレビュー
7点 ムキッキーさん
原作は未読であり、連載終了してから読みました。
戦争とファンタジーは両方ともコテコテのイメージが強く
なかなか手が出せないのですが、いやー面白かったです。
新城直衛をはじめとする癖のあるキャラクターが良いですね。
戦争ものが苦手でも、登場人物が魅力的なので読んでいくうち
いつの間にかストーリーにも入り込んでいけました。
独特の台詞回しがまさに「許容も無く慈悲も無くの世界観」を
ガツッと表現しています。
特筆すべきは画力で、人物の描き分けが非常にしっかりされている。
とりわけ主人公「新城直衛」の外見など、一度見ると
インパクトが強くてなかなか忘れられない。動物の絵も上手い。
また、人物の表情が豊かで面白い。癖のある表情などは特に。
主人公の新城が決断を迫られるたび、自己嫌悪に陥ったり
煙草を咥えながら義姉を想い悶々とするさまなどが何とも良いのです。
原作未読だと、世界観や用語に慣れるのに時間かかりそうなのと
導術兵の存在にちょっと疑問を感じなくもないですが。
読み返しが必要な漫画ではあるなと。
諸事情により打ち切りと聞きましたが、綺麗に終わっている方だと思います。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2008-01-06 01:47:59] [修正:2008-01-06 01:47:59]