ホーム > 不明 > 月刊コミックトム > 石の花

8.57点(レビュー数:7人)

作者坂口尚

巻数6巻 (完結)

連載誌月刊コミックトム:1983年~ / 潮出版社

更新時刻 2010-06-05 16:58:07

あらすじ 舞台は第二次世界大戦中のユーゴスラビア。
友達をナチスドイツに皆殺しにされた少年は、正義のためと反乱軍に属し戦っていくが、やがて戦争の中に正義は存在しないことに気付き、それでも否応無しに闘わざるを得ない現実に苦悩する。その果てに見た答えは・・・。

備考 新潮社および講談社より、大幅な加筆を加えた新版が全5巻として刊行されている。
本作の功績により、作者の坂口尚はユーゴスラビア政府(当時)より表彰を受けた。

シェア
Check

この漫画のレビュー

9点 blackbirdさん

名作の名高いこの作品を読むのは、なかなか覚悟がいりました。
日本人にはよくわからない、複雑な民族・宗教・言語の入り混じったユーゴ。その近代史、内戦に至る事情と、そこに巻き込まれる国民、
とりわけ若者の苦しい心情を、よくここまで描いたなと感心します。

話としては、前半の丁寧さに比べ、後半なぜナチスの勢いが失速し、
解放されたのかというところがざっくりしているのが残念でした。
でも、多民族国家の複雑さと、それを悪用したナチスの狡猾さは良くわかり、読んでいてため息が出ます。

幸福を求めることがすでにいけないことなのか?と、そんな哀しいことを問いかけなくてはいけない世界が、すでに哀しすぎます。

そんなに絵が際立って上手いわけでもないのかと思っていましたが、そんなことはありませんでした。
ところどころ本当に動き出しそうな場面があったり、自然の中に吸い込まれそうになったり。
コマを見ただけで涙が出そうになったところもあります。

朦朧とした中で森をさまようクリロや、一人死を迎えた老人、
収容所でのフィー、理想を語るマイスナー。
そんな描写に引き込まれました。

簡単に手に取ることはできないけど、一度は読むといい名作と思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-06-02 11:07:18] [修正:2011-06-02 11:07:18]

石の花と同じ作者の漫画

坂口尚の情報をもっと見る

同年代の漫画

月刊コミックトムの情報をもっと見る