あらすじ 山に魅せられた男、島崎三歩。若くして世界の巨峰を登頂した後、三歩が選んだ道は日本でのボランティア救助隊員だった。感情に流されることなく、常に最善の結果を求めて救助活動をする三歩。ときには非情で冷酷とみなされ、遭難者やその関係者と衝突することも。山があり、登頂者がそこを訪れる限り、三歩の救助は続く。
備考 当初はビッグコミックオリジナル増刊で不定期連載されていたが、途中からビッグコミックオリジナル本誌に移籍した。2008年第54回(平成20年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞作品。「ビッグコミックオリジナル増刊」で不定期連載されていたが、2007年から「ビッグコミックオリジナル」に移籍した。
この漫画のレビュー
9点 shinpe-さん
山岳レスキューもの、という括りで読み始めるとまず肩すかしを食らったような気持ちになります。確かにレスキューは沢山あります。日常茶飯事です。しかしレスキューが物語として語られる場合にはハッピーエンドとして語られてきたのが一般的ではないでしょうか。その類いの漫画の系列には含められないです。なぜならバットエンドも数えきれないほどあるのだから。
この作品は人がもの凄く沢山死にます。それも自発的に登ってきた山で。現実のそのようなニュースを見るたびに山に対する認識の甘さとか、自然を舐めちゃいかん的な発想をしてしまいがちになるのですが、この漫画を読んで考え方が変わりました。ベストの状態で、かつ細心の注意を払っても死ぬことがあるのが山なのだと。
そんな山の厳しさと美しさを誰よりも知る三歩とそれを取り巻く人々を描いた物語です。山そのものというよりも、山という特殊な環境でしか見る事の出来ない人間の姿を描こうとした漫画だと言う風にも感じます。ほぼ一話完結型で、12巻までクオリティを落とす事無く書き続けている作者の力量と三歩という特別なキャラクターを生み出したパーソナリティには敬服しっぱなしです。長く長く続いて欲しい漫画の一つです。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2010-09-17 13:10:03] [修正:2010-09-17 13:10:03]