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7点(レビュー数:2人)

作者諸星大二郎

巻数1巻 (完結)

連載誌短編集:1993年~ / 集英社

更新時刻 2009-11-25 06:41:17

あらすじ 線路の脇にひっそり佇む黒い影法師の正体は? 表題作ほか「子供の遊び」「復讐クラブ」「海の中」「ユニコーン狩り」「真夜中のプシケー」「袋の中」「会社の幽霊」「子供の王国」を収録した自選ホラー短編集。

備考 短編集のため連載開始年には発行年を記載。

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この漫画のレビュー

7点 ジブリ好き!さん

読み手の恐怖感覚や感性によって、各話の面白さが異なると思う。
「このエピソードはだれが読んでも面白いだろう」ってよりは、「自分はこれに惹かれる」といった話が詰まった「怪奇漫画」の短編集。

不安の立像→「恐怖漫画」寄りの話。些細な好奇心から出会った恐怖によって、日常の退屈さから逃げだせた男の話。(7点)

子供の遊び→意識のすり変わりは諸星作品ではよくあるのだろう。この短編集でも、最初と最後で考えや意識が全くすりかわってしまうエピソードが多い。その中でもこれは最も典型で秀逸なエピソード。表面的な恐怖だけでなく、深層部分にも刻まれる恐怖感。(8点)

復讐クラブ→どんでん返しというほどではないだろうが、オチは良い。「人を呪わば穴二つ」ということを、説教臭くなくシニカルに描いた話(8点)

海の中→美しくも生臭い、怪奇談(4点)

ユニコーン狩り→ファンタジー作品と評するだけあって、恐怖や怪奇を描くというより、夢を見せてくれる作品です。それでもやはり、異様さはあるのだけれども…(7点)

真夜中のプシケー→まさしくホラー漫画といった感じ(5点)

袋の中→人間の残忍さ・猟奇性が具現化されたものが、袋の中の怪物なのだろう…(5点)

会社の幽霊→ホラー性よりユーモアな表現が勝っていて、皮肉のこもったギャグ漫画にも読める作品。(6点)

子供の王国→これは怖い。そして興味深い。子供を嫌い批判していたつもりが、知らぬ間に子供世界にはまり込んでしまっていたという皮肉。おそらく最初からの子供批判な態度は、永遠に遊び続ける子供への憧れや羨望の裏返しであり、命がけで「子供の遊び」を体験したことでその深みにはまってしまったのだろう。このオチを知ってしまった後には、何とも言えない気持ちになってしまうだろう…(9点)

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-10-22 16:33:03] [修正:2010-10-22 16:33:03]

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