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7.51点(レビュー数:41人)

作者新井英樹

巻数14巻 (完結)

連載誌週刊ヤングサンデー:1997年~ / 小学館

更新時刻 2011-01-12 13:48:34

あらすじ 「人の命は平等に価値がない」
そう断言し、圧倒的な力を持つモン。
そしてモンに魅かれ力を望むトシの2人は特に意味もなく爆弾テロを起こし、一般市民を虐殺していく。
あまりにも生々しい虐殺シーンは被害者の「痛み」がそのまま伝わってくる。

やがてトシは警察に捕らえられる。
その後モンは完全武装し警察署を襲撃。
2人は人質を取ったものの警察署の周りは完全に包囲されている。
その状況で要求を聞かれたトシは3つの要求をする

1 人の命の重さと値段の国家の公式見解
2 人を殺してはいけない理由
3 世に棲む生けとし生けるものすべてが、自由に平和に、平等に、美しく、明るく、楽しく暮らせる幸福と善意と優しさと愛に満ちた世界

備考 現在絶版

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この漫画のレビュー

10点 kenkenさん

宮本、アイリーンが主観的で情緒的な作風であるのに対して、今作は様々な世界とそこで生きる人々を客観的に描いた群像劇になっています。

この漫画の特徴は登場人物それぞれに生命を感じる事ができる点です。
それぞれの異なる表情、理念、行動、クセ等を客観視して細かく描いているためモブでさえキャラが立っており、
数コマだけの登場でもその人達の確かな人生の軌跡を感じることが出来ます。
そうして多種多様な価値観をもった登場人物達によって物語が展開していきます。

普通の漫画では作者の主張を登場人物が作中で発言する事が多く(大ゴマで名台詞然と)、
そのイデオロギーに反するものを倒すべき敵として登場させ結論ありきで物語が展開していきます。
しかしこの漫画では上記のような大ゴマでいかにも至言といった発言をさせた後でも、冷めてしまうような全く反対の意見を出し相対化してしまいます。
つまりこの漫画には作者の主張以外にも多様な価値観が存在しており、指針となるモノローグも殆ど無いため、結論は読者が判断しなければいけないという構造になっています。

もう一つの特徴に徹底したリアリズムが挙げられます。
全編に渡る暴力描写はやたら凄惨な上に、殺される側に感情移入させてから殺すので、一個人の死を強烈に実感できます。
また性描写も成年コミックのようなエロチックに演出されたものでなく、女は間抜け面で蛙のように股を開き、男の尻のアングルから挿入して金玉がブラブラ揺れている所まで俯瞰視点でリアルに描かれています。(全く気持ち良くなさそう)

上記の特徴は非常にアクが強く、合う人には優れた長所になりますが合わなければ丸ごと酷い短所に感じてしまうでしょう。
どちらにしても読むのがかなりしんどい漫画ですが、僕は今まで読んだ中で最もリアルで美しく優れた漫画だと思っています。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-07-15 21:50:36] [修正:2010-06-05 20:30:37]

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