この漫画のレビュー
7点 Kino.さん
物語が進んでいくごとに天馬の心が変化していきます。それを見ているのが楽しいです。浦沢先生の得意な短話完結型の物語がいくつも出てきます。それを一つの大局観から物語を作成してまとめた技量はさすがと感じました。
ただヨハンの影を天馬が追う形で物語が展開しているのですが、途中からヨハンの存在感が希薄に感じられたのは意外でした。どんどんヨハンや冷戦時代の東ドイツの影の部分が明らかになっていくにつれて、ヨハンが希釈されていった感じです。普通の人間じゃないかと感じてしまいました。浦沢先生の狙いはそこだったのかもしれませんが、自分はヨハンの暗い闇、天馬には救えない部分を見てみたかったのです。そのせいか、途中から話を読むのが作業的になってしまいました。ただ、全体としての完成度は見事だと思います。
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[投稿:2008-10-29 17:55:43] [修正:2008-10-29 17:55:43]