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9点(レビュー数:2人)

作者花輪和一

巻数1巻 (完結)

連載誌短編集:1996年~ / 青林堂

更新時刻 2009-11-25 06:41:29

あらすじ 花輪和一の初期作品集。

備考 短編集のため連載開始年には発行年を記載。

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月ノ光のレビュー

点数別:
1件~ 2件を表示/全2 件

9点 何某何さん

花輪和一がその独特な、乾いて飄々とした境地を見い出す前に、描かれたこの初期作品群は、

極めて沈鬱で
極めて陰気で
極めて不吉で
極めて醜く
極めて憎たらしく
極めて惨たらしく
極めて救いがない

その後の作品のような、痛快さ、幽玄さ、荘厳さ、お笑い要素、哲学的要素、仏教的側面などまったく見当たらない。
ただひたすら作者個人の背負った根深い怨念がどこまでも書き出されているだけ。
それでいてその短編作品達のどれもが、ひとつの物語として見事に成立しているのだから不思議なものだ。
心の奥底の憎悪を漫画に託しつつも、そんな自身をどこか冷めた目で見ている自分がいたからこそできたことなのだろう。

だから、一度でも世界を激しく憎んだことのある人は、是非この作品に手をつけるべきだ。
ただし、善良で純粋な人間には絶対に見せてはいけない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-17 12:10:39] [修正:2009-11-18 00:46:29] [このレビューのURL]

「当時は書くならエログロって感じだった」と後のインタビューで語っているとうり
処女単行本である本作は後の作風とは違いストレートに猟奇趣味してます。
伊藤彦造な絵柄で食人、スカトロなどなど・・・
でも誤解してもらっちゃ困りますが、単に残虐を徹底して見せるだけの漫画にあらずでして
随所に見える心地の良いユーモア感覚にこそ気付いてほしいんですよな。
真っ直ぐに猟奇してるというよりは、どこかそれを斜に構えてみてるような所があって
そのバランスがちょうど良いんです。よく比較される丸尾末広も同じです。
じゃなきゃ、こんなセリフ描けないよってセリフがバンバン溢れてますんで。
気持ち悪い・・・の一言で片付けられても、まあ仕様がないですが
せっかく「刑務所の中」で花輪漫画に触れたのなら、それだけで終わらずに
過去の作品にも手を出してみてくださいよ。

初期ならではの描きこみ過ぎて真っ黒なコマの数々も魅力的です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-12-27 00:32:54] [修正:2007-12-27 00:32:54] [このレビューのURL]


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