「何某何」さんのページ

総レビュー数: 20レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年11月11日

前作から長く読み続けていて、
爆発的、と云う程では無いにせよ、
そこそこ面白く結構楽しめた漫画なのだが、
どうにも、最近のは無残な程全く笑えなくて読んでいられない。
その理由は、二つある。

一つは、「登場人物の改悪」だ。
連載が進むにつれ登場人物達がひとりでに動き出して物語が面白くなる、
と云うことは良くあることで、この作品も初期はそうだったのだが、
近年はそれが見られず、むしろキャラクターを強引に動かしていて、
その原形をとどめなくなったキャラははっきりいって見苦しいの一言に尽きる。
昔はバカバカしさの中にも、一応一本筋が通っているようなモノがあったのだが、
今や無理矢理にねじ曲げ過ぎてしまったので、
作品全体がごちゃごちゃとしてまとまりが無くなって収拾がつかなくなってしまっている。

もう一つは、「取り上げるネタの不味さ」だ。
ここ最近はちょこっと混ぜたり題材にしたり取り上げたりするネタが、あまりにも
シャレになってなくて生々しくてリアルで重苦しくて気が滅入ってくるものばかりで、
読んでるうちにどんどん、素直に笑う気が失せていってしまうし、
それでいて作品内のコンセプトは、あくまでも「明るく楽しい」笑いのままにしているから、
正直言って痛々しくて到底笑えるようなシロモノではない。

シリアスな路線に踏み込みもせず、ダークな笑いも開拓しないという、
思い切った方向転換のできなかった中途半端さが、
この作品をただ惰性でダラダラ続いていくだけの漫画にしてしまった原因と言えるだろう。

でも、そんな最近の作品の質の「劣化」が、
この漫画の全盛期をも貶めてしまっているのかどうかと言われれば、
それはそこまでにはなっていない、って言わざるを得ないんだよねぇ……
だって……全盛期、と言ってもねえ……

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-01-04 21:25:55] [修正:2010-02-05 20:44:19] [このレビューのURL]

人間の暗部と救い難さをこれでもかこれでもかと見せつけてから、
最後に人間の素晴らしさ、美しさを知ることのできる、
綿密で壮大で幻想的で暗澹として輝かしくて禍々しくて神々しい、
読むといろいろと考えさせられるファンタジー叙事詩漫画だが、

如何せん、永井豪特有のバカバカしさ、エロさ、下品さ、おかしさ、ハチャメチャさ、ワケの分からなさ、非常識ぶり、不謹慎ぶり、ブッ飛び具合、ブチ切れ加減がまったく無く、
凄味、エネルギー、情念、熱さ、残酷さ、残忍さ、グロさ、おぞましさ、スプラッター、インパクト、業の深さなども他の作品に比べると、イマイチ弱いとしか言わざるを得ない。

原作ダンテ、作画永井豪の、原作を超えてない、
単なる学習マンガにしかなっていないのでは。
それでも非常に勉強になる作品だが。

あと、ダンテ肖像画と似てなさ過ぎ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-22 16:23:03] [修正:2009-11-24 11:23:25] [このレビューのURL]

吉田戦車の流れを引く吉田戦車の亜流でしかない劣化吉田戦車、

のはずなのだが、
この人の描く四コマには激烈なインパクトを与える個性が一つある。

それは、絶対にオチでオトさずに徹底して不条理を不条理として貫き続ける姿勢だ。
ここまで潔い漫画家を、私は見たことがない。

読んだら誰でもポカーンとすること間違いなしの作風で、
スルメのように噛めば噛むほど味が出てくる、
とにかく病み付きになれるギャグ漫画だ。

もっとも、このポカーンを楽しめればの話だが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-21 14:20:59] [修正:2009-11-21 14:40:26] [このレビューのURL]

とても不幸で不運で不憫で不安な状況下で

とてもおバカでダメでイタい奴らが引き起こす

とても下品で迷惑で逸脱した騒動の数々は

どれもとても救いがなくて虚しいものばかりで

とても笑えるようなものじゃなくて

そしてとても面白い

勢いや破壊力は「稲中」より劣っているものの、
古谷実の著作の中では、
秀逸なギャグとハードでシリアスな日常との、
微妙なバランスが実に絶妙に取れている、
奇妙な佳作に当たる作品と言えるだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-20 19:40:36] [修正:2009-11-20 21:17:25] [このレビューのURL]

前代未聞でも、史上空前でも、メガトン級でもなんでもない。

ただ、「ダメ」なだけ。

敢えて言うならスベリ漫画といったところ。

当然、スベリ芸には遥か及ばない。


P.S.
表紙だけなら見る価値はあるでしょう。
買いたくない気がこれ程そそられる物は他にないでしょうから。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-11-18 18:18:08] [修正:2009-11-19 10:36:21] [このレビューのURL]

確かに、
初期は方向性が定まっておらず中途半端で散漫でムラがあり、

確かに、
後期は明らかに息切れしてネタ切れして失速しており、

確かに、
このギャグを全く受け付けられず到底笑えない人も沢山いるだろう。

だが、
そんなところに至るまでの全てをも含めて、
大笑いしてしまえるだけの価値が、
この漫画には十二分以上にある。

理解できないものは、ただ笑うに値するのだ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-18 10:40:31] [修正:2009-11-18 10:59:01] [このレビューのURL]

9点 月ノ光

花輪和一がその独特な、乾いて飄々とした境地を見い出す前に、描かれたこの初期作品群は、

極めて沈鬱で
極めて陰気で
極めて不吉で
極めて醜く
極めて憎たらしく
極めて惨たらしく
極めて救いがない

その後の作品のような、痛快さ、幽玄さ、荘厳さ、お笑い要素、哲学的要素、仏教的側面などまったく見当たらない。
ただひたすら作者個人の背負った根深い怨念がどこまでも書き出されているだけ。
それでいてその短編作品達のどれもが、ひとつの物語として見事に成立しているのだから不思議なものだ。
心の奥底の憎悪を漫画に託しつつも、そんな自身をどこか冷めた目で見ている自分がいたからこそできたことなのだろう。

だから、一度でも世界を激しく憎んだことのある人は、是非この作品に手をつけるべきだ。
ただし、善良で純粋な人間には絶対に見せてはいけない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-17 12:10:39] [修正:2009-11-18 00:46:29] [このレビューのURL]

巨人の星からそのまま拝借してきたような登場人物設定。

逆境ナインのノリをそのまま持ってきたようなテンション。

アストロ球団で使われたネタをそのままパクッたストーリー展開。

わたるがぴゅんにあったモノをさらに圧倒的に凄まじくしたような技。

すべてが珠玉の輝きを見せている。

まさに全ての野球漫画への最高のパロディとも言える作品だ。


ツッコミと大ボケの掛け合いのおかしさ、

大バカで大マヌケで壮大で大胆でマッドでクレイジーで実に意味の無いキャラクター達

信じられない程脱線して信じられない程変な相手と戦う信じられない程訳の分からない世界観、

限度を知らずに限界まで際限なくどこまでも突き抜けてエスカレートしていく物語、

と、何もかもが究極の面白さへと昇華されている。

それこそ全ての漫画に対する最大のオマージュであるとも言える。


ただ、大和田秀樹特有の「毒」が、ちょっとだけ薄いかな?

ま、デビュー作だしそれは無理な話か。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-17 12:42:33] [修正:2009-11-17 15:45:03] [このレビューのURL]

5点 ムジナ

[ネタバレあり]

厳しい掟が支配する忍者の里で、落ちこぼれの見習い忍者ムジナは、父、ゴキブリから教わった秘術を駆使し、欲望渦巻く裏社会での闘争に身を投じていく。
「何があっても生き抜け」という父の遺言を守り、ムジナはひたすら自分自身がただ生き残る為だけに、任務に臨み敵と戦い、時には逃げ、そして時には卑屈になりながら、忍者としての腕を上げ人間としても精神的に成長してゆく。
いろいろなものを失い、傷つき、惨めで過酷な日々を送る中、ムジナの前に美しい少女、スズメが現れる。
恋愛感情が芽生えるムジナだが、それは「愛するものを作るな」とも遺した父の教えに背くものであり、その狭間で揺れ動くことになる……。

リアリティ重視の徹底して苛烈で情け容赦の無いストーリーは、世間一般のいわゆる「カッコいい」忍者のイメージ像が排されているのも相まって、鮮烈な印象を放ち、読者をグイグイと引きつけていく。
加えて、「お約束」を踏まえながらもアレンジが効いて魅力を持った登場人物たちによる、戦闘力殺傷力確実性効果重視で全然格好良くない忍術の応酬は、王道でありながらも実に異彩でどこかユーモラスでとても面白い。
だが、この作品を最も際立たせている、一番にして最高のツボは、何と言っても根底に流れるその「熱さ」だろう。
主人公ムジナは生き抜くためにどんなに醜態を晒してもそれでも前を向き続け、スズメも心が折れそうになりながらも、無力な体で果敢に敵に抗い、里を、ムジナを、己が身を、必死で守ろうとし、そして、ムジナの友人で、自己中心的な卑劣漢だったサジでさえも、クライマックスでは最高の友情と優しさを見せるのだ。
とにかくこのマンガはその多彩な登場人物達の見せる多種多様な「生き様」「死に様」が、本当に光っている。
なにしろ、犬死でさえも格好良くなってしまうのだから。こんな表現は並の漫画家では絶対にできない。
このまま本当の忍者のように闇に埋もれさせておくには惜しい、相原コージ、入魂の隠れた逸品だ。


…………と、ここまで書くと、この作品がさぞかし素晴らしい、万人にオススメの傑作忍者漫画のような印象を持つかも知れないが、ところがどっこい、あまりにも致命的極まりない失敗欠点が、この漫画内では散見し過ぎていて、作品の評価を決定的なほど大幅に落としてしまっているのだ。
まず、相原コージお得意のギャグが悲しくなるほど滑ってしまっている。
ハードな物語を挟むようにして矢継ぎ早に入れられるそのギャグが、笑えるようなシーンは一切無い。
なぜか、それは空気をまったく読まずに入れているからだ。
通常、シリアスなところに挟むギャグと言うのは、重苦しい雰囲気を緩和させる、アクション漫画にはなくてならない重要なもので、適度な量を絶妙のタイミングで入れることによって、軽快なテンポの良さを展開の中に生み出し、実にいい味となって物語内に生きるようになるのだが、この「ムジナ」では、それがほとんど当てはまっていない。
ただ思いついたものを思いついた其の時に、何の配慮もせず不適切で量も無駄にひたすら垂れ流しているだけで、漫画内のテンポを思いっきり殺してしまっている。
さらに、実験と銘売って、突飛で様々な表現技法に突如チャレンジしたりしているが、これがまったく読者の気を引くものになっておらず、面食らって当惑して困惑してしまうだけだ。
相原コージ特有の露悪趣味もストーリーのムードをぶち壊しにするだけで、とにかく見苦しくて見づらいとしか言いようが無い。
作者がウケ狙いでやろうとしていたことの全てが、見事にハズれていて、物語の興を完全に削いでしまっている。
ただ、この頃の相原コージは漫画家としての破綻が始まっていた時期だったらしく、そんな背景を考えると、作品が粗雑で粗悪になってしまったのも、やむなしだったのかなあと思わずにはいられない。
その辺はしっかりと汲んでやるべきだろう。


だが、そんな多量で多大な欠点を差し引いても、
クライマックスの壮絶さは圧巻だし、
ラストシーンはあまりにも、美しい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-16 00:15:52] [修正:2009-11-16 22:39:59] [このレビューのURL]

熱い魂とまっすぐな心を持つはずの主人公が、
それまで一緒に必死な思いをして戦ってきた仲間を、
平然とポイ捨てするなんて果たしてやっていいことなのか?

この作品はとにかくギトギトに暑苦しくて、滅茶苦茶に力強くて、無茶苦茶に荒唐無稽で、超絶にバカバカしくて、どこまでも男臭くて、あまりにもおかし過ぎる、
熱血骨太重厚濃厚こじつけ満載ぶっ飛び超非現実的ド迫力型野球マンガで、
とにかく笑えて熱くなれて前向きになれるはずなのだが、

そこだけはどうしても好きになれない。
それだけは絶対にしてほしくなかった。

よって、高い点数をつけることはできない。
だけど、色んな意味で「凄え漫画」であるのは、
紛う方なき明らかな事実だ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-11-16 14:10:57] [修正:2009-11-16 14:43:04] [このレビューのURL]

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