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7点(レビュー数:1人)

作者碧也ぴんく

原作滝沢馬琴

巻数15巻 (完結)

連載誌ミステリーDX:1990年~ / 角川書店

更新時刻 2010-05-05 12:18:11

あらすじ 安房国・里見家の伏姫は、戦で手柄を立てた飼い犬・八房と結婚し、やがて懐妊。犬の子を身ごもった身を嘆き、命を絶つ。その瞬間、姫の数珠から、八つの珠が飛び散った。 その珠と牡丹の痣を持つ八人の青年がこの物語の主人公・八犬士たちである。やがて八犬伝は、彼らの青春へと舞台を移していく……。

備考 同名の古典文学作品を漫画化した物。
当初は原作から大きく離れた作品になる予定だったが、作者の文献調査に熱が入るにつれ原作に忠実となっていき、漫画として描かれた「八犬伝もの」としては異色の作品となった。 (Wikipediaより)

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八犬伝のレビュー

点数別:
1件~ 1件を表示/全1 件

7点 臼井健士さん

ようやく文庫版全八巻を読了。現在のところの唯一の「南総里見八犬伝」の漫画と思われます。
原作は江戸時代の作家・滝沢馬琴になります。コミックスにも原作者として名前がしっかりと出ています。

物語は現在の千葉県の房総半島に本拠を持つ里見家の盛衰を、伏姫のお腹から飛び出した八つの玉を持つ勇者を中心に展開されます。
信長や家康が生まれるよりもずっと前の時代が舞台のためにイマイチ馴染みが薄いのが難点でしたが、王朝絵巻を思わせる絵柄で最後まで描き切ってくれました。

勢力としてはハッキリ言って「弱小」の部類に入れてよい安房の里見家が今日人々の間に知られているのは、ひとえに「この物語」の存在のおかげと言ってよい。
薬師丸ひろ子主演で映画化もされましたが、どちらかというと映画を思い出す人が多いことでしょう。

怨霊・玉梓の里見家滅亡の計画は伏姫が命を賭して生み出した八人の勇者をも引き合わせる。
彼等はそれぞれが周囲の環境の変化によって家族を失い、故郷を追われて流浪の身となりながらもやがては運命の糸に導かれて集結していく。
武家らしく「刀」が作中に於いて「神器」のような扱いになっており、大きなキーワードだった。
集結した八犬士たちの活躍によって関東諸将による安房・里見家討伐は阻止される。

話のスケールとしては地方の一豪族にまつわるものであり、日本全国に広がっていた戦国の世を集結に導くような話の大きなものではないので、根本的な危機は解決されていないのだが、江戸時代にすでに現在で言うところのRPG(ロールプレイング)的な要素を含む物語を完成させていた原作者と、それを見事に現代に甦らせた作者の力量に感服といったところだ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-04 23:47:22] [修正:2010-12-31 16:35:29] [このレビューのURL]


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