「red-eyes」さんのページ

総レビュー数: 5レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年12月06日

8点 LIAR GAME

ギャンブル漫画の良作。独特なゲームにおける必勝法と心理戦が絶品(10巻現在)。

 正直者の神埼直が、うっかりライアーゲーム(嘘吐きのゲーム)に参加してしまい、元天才詐欺師、秋山深一の助けを得ながらゲームを戦っていくというお話。

 古典的なギャンブルではなく、新しい”ゲーム”による億単位の金(死ねる金)の取り合いを書いた作品。ゲームそのものは新しいが、タネや必勝法は結構古典的。単行本で何回も読み直し、展開がどうなっていくのかを推測しながら読むと結構楽しい。結構、ヨめる。

 今、連載中の新感覚ギャンブル漫画としては、カイジと並ぶ2大漫画でしょうね。したがって、カイジとの比較が避けては通れない。

 カイジとの一番の違いは・・・やはりテンポのよさでしょうか。カイジは、既に40巻出て7ゲームしていますが、ライアーゲーム(以下、LG)は、10巻で9ゲームしています。例えるなら、カイジはビールで、LGは焼酎か。
 もう一つ、カイジとの違いをあげるなら、カイジの方が攻略法がヨめない(僕だけかな・・・)。そういった意味で、少し楽しみ方が異なると思う。LGは、手品やだましのテクニックに詳しいと”粗方”想像がつく。だが、それがいい。

 カイジとの共通点は、どこか安心感があるというところ。カイジは、カイジ自体に人間臭い魅力を感じるけれど、LGは、神崎直の信じる力に魅力を感じる。どちらも好きな漫画だが、どちらの漫画も、その核心は、ゲームそのものにあるわけではなく、作品のメッセージ性にあるんだろうな、という気がします。勿論、ゲームの独創性とその攻略法も見所だけけれど。

 濃密な心理戦を味わいたい人、推理が好きな人、プチ人間不信だけれど人を信じてみたい人は、読んでみてはいかがでしょう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-01-01 00:25:31] [修正:2010-01-01 02:54:50] [このレビューのURL]

ボディブローのように効いてくる傑作。”完璧な女性”を描いた作品。

 恐ろしいほどの美貌をもつ叶小夜子が、自らに降りかかる火の粉を「女の力」で振り払っていく、という話。ホラーミステリー?

 はじめて読んだのは健全な(?)男子高校生だった17歳の時。女性の恐ろしさをぶつけられ、コドモゴコロに衝撃を受けた。読み終わった後、吐き気を催したのを覚えている。女性の事をろくに知らず、SEXも覚えたての当時の僕には、ヘビーすぎたのだろう。

 最近になって、改めて読んでみたが、やはりすごい。軽い言葉でオブラートに表現すれば「女の言うイイ女と、男の言うイイ女は違う」。そして、24歳になった今でも、ぜんぜん修行不足だな…と思い知らされてしまう。

 女からみた完璧な女は、果たして幸せだろうか?作中では、小夜子は、登場する男のほとんどを手玉に取っている。手玉に取っていない男は、自らの父と祖父ぐらいではないか。この作品に登場する主な男は、形こそ違えども、彼女に服従を強いられている。

 もっとも、この男を手玉に取る強大な力は、自らの意思に反した結果をも生む。主人公の死は、小夜子にとって予想外の出来事であっただろうし、作中で唯一ミスをした点である。”完璧な女性”であったとしても、幸せになれるとは限らないということなのかもしれない。

 構成自体は、結構単調。男の暴力と女の色、というワンパターンな展開が何回か続く。物語が短いから耐えられる。最後は一気に話が進む。

 吉田秋生らしい、性をテーマにした作品。四半世紀ほど前に書かれた作品ではあるけれども、現在でも十分通用する。草食系男子が流行る今の世を、作者はどう思うのか、聞いてみたい。

 ホラーミステリーが好きな人、性について考えてみたい人、ちょっと鬱な気分になりたい人は、読んでみてはいかがでしょう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-08 11:46:34] [修正:2009-12-08 11:46:34] [このレビューのURL]

かなりの良作。
短編『雪の峠』『剣の舞』2作品を収録。一応、歴史物。史実を大胆に改変している模様。

1.雪の峠

 ”戦”って何だろう、と考えさせられる作品。そういった意味では、現代にも通じる。

 時は、関が原の合戦後。佐竹家の都の決定につき、渋井内膳と梶原美濃守が攻防する、というお話。

 構成が秀逸。つい、一コマ一コマに意味があると思って読んでしまう。

 読後感としては、かなりのスッキリ。だが、このスッキリにだまされてはいけない、のではないか。『戦』って何だろうって考えさせられる作品。

2.剣の舞

 『無常』を楽しめる作品。

 時は戦国。農民の娘ハルナは、戦争に巻き込まれ、侍に連れ去られ犯され、家族を皆殺しにされる。その後、疋田文五郎に弟子入りし、侍に復讐する、というストーリー。

 ミクロな見方としては、ハルナの成長、ほろ苦い恋愛、復讐、という1人の人生を楽しめる

 マクロな見方としては、戦とは何か、時代の流れとは何か、そもそも人生ってなんなんだ、という点について考えてしまう作品。

 岩明作品らしく、構成はかなり入念に練られていて、一コマ一コマ良く練って描かれている。 良いキャラを作るというより、舞台の中に人を配置していくことによって構成していくという、この作者の手法を十分に楽しめる。

3.まとめ

 どちらも、かなりの良作です。短いからすぐ読めるし、買っても1巻なので、興味があれば読んでみてはいかがでしょう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-12-06 23:38:01] [修正:2009-12-06 23:38:01] [このレビューのURL]

 普通。

 ひょんなことからフレンチの料理人となった、馬鹿で口が悪く未熟ではあるが、人を引き付ける力と料理の才能を秘める主人公が成長していくストーリー。ところどころでフレンチの基礎的な情報が、わかりやすく解説されている。

 料理マンガ好きだから読んでいる、という感じ。キャラ作り、物語の展開は、どちらもアマイ。ギャグもない。色気(読者サービス)がないのは、個人的には高評価(ホント個人的だな・・・(汗))。フレンチについての情報が、もっとコアだといいんだけどなぁ。

 買ってまで読む必要はないと思います。フレンチの知識はないけれど、興味はちょっとある、という方は読んでみてはいかがでしょう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-12-06 17:15:41] [修正:2009-12-06 17:24:02] [このレビューのURL]

 良作。

 ミスター味っ子の子どもが、主人公として数々の料理人との出会いや料理勝負を経て成長していくストーリー。元祖、ミスター味っ子も、重要な人物として登場。二世は日本で、元祖は主に海外で活動する。

 かつて連載されていた『ミスター味っ子』は、料理のアイディアをネタにしていたが、『ミスター味っ子2』は、現代の食事情に即して、様々な問題にも触れる。

 おいおい、そりゃねーだろみたいな、寺沢作品独特の強引な部分もありますが、少し?現実離れしたところが気にならないならば、面白いと思う。

 寺沢作品OKな人、料理マンガ好きな人ならば、一度読んでみてはいかがでしょう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-12-06 17:00:39] [修正:2009-12-06 17:00:39] [このレビューのURL]