「カレー」さんのページ
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慶應大学法学部政治学科2年。
法学部なのに法律に興味がなく、哲学や文学が好きです。
今まで漫画は200作品以上、計数千冊。
大学生になってひたすら漫画読んでいたら、数をこなし良い作品と出会えたことで、良いものと悪いものがわかるようになりました。
好き勝手書きたいと思います。

10点 HELLSING
20世紀末のヨーロッパを舞台にした吸血鬼ガンアクション。
狂気という言葉がふさわしいような作品。
世界史好きやブラムストーカーの「ドラキュラ」を読んでいるとなお楽しめるであろう。
以下ネタばれ含む。
まず吸血鬼を人間が利用するという図がたまらない。
「吸血鬼=悪、人間に害をなすもの」
→「正義たる主人公が人類のために勧善懲悪する」
というイメージが完璧に崩壊している。
そう恐ろしいのは人間の欲である。
劇中では「人間」、「狗」、「化物」という言葉が対比的要素として用いられる。
「狗」とは自分で考えることをせず、他者に従い行動するものであろう。「化物」は人間であることに耐えられなかった弱い者。
つまり「人間」とは自らの弱さを受け入れながら、自律し自分の意志で行動する者のことを指すのではないだろうか。
それゆえの「化物を倒すのはいつだって人間だ」なのであろう。
また吸血に関する考察が印象的であった。
「他者との命の共合 生命の融合 精神の統合 吸血鬼の本質」
(9巻、少佐の台詞より)
この漫画の世界では吸血鬼の繁殖は処女と童貞が血液を吸われた時に起こるらしいが、私は初読時なぜ処女と童貞に限定されるのか理解できなかった。
しかし吸血の本質が他者との融合であるという説明で納得することができた。
吸血にはエロスがある。
それも他者との融合に関わるのだろう。
英国教会とローマカトリック、ナチスのみつどもえの戦争。
ナチスが第一次大戦を彷彿させるように飛行船でイギリスに攻撃を仕掛けるシーン。
ドラキュラ伝説の串刺し公を連想させるようなシーン。
非常に満足。
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[投稿:2010-01-16 17:28:42] [修正:2010-01-16 17:28:42]