「mardonios」さんのページ

古典作品を漫画化するシリーズの中のひとつなのだが、このシリーズの他の漫画の恐ろしいまでの無味乾燥さと、『三河物語』の壮絶なまでの愚痴が組み合わさったらどうなっていたかを考えれば、出典そのままではなく彦左衛門自身の人となりを取り上げたのは、とても上手かったと思う。

安彦良和だから言うまでもなく絵は抜群に上手いし、アリオン以来歴史や神話物の漫画を多く手がけてきただけに、この作品でも江戸時代初頭の雰囲気が丁寧に描かれている。

ストーリーの方は、1巻という短さもあってややあっさりしている感じが否めないけども、キャラクターの良さで全てを許せる。彦左衛門の頑固さや意地の悪さがやがて愛おしいとさえ(ヒゲのオッサンなのに!)思えるようになるのだから。このあっさりとした感じも、読み終えると逆に短い映画を見終えたみたいで良い。

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[投稿:2010-10-20 01:08:17] [修正:2010-10-20 01:10:40]

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