「mardonios」さんのページ

総レビュー数: 8レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年10月20日

前情報ではヒロインのヤエの最終的にとった行動だけがひとり歩きしてさんざん目にしていたので、実際ヤエがどんなキャラなんだろうか、というのをちょっと楽しみにして購入した漫画。結果から言えば、いい買い物になった。

ヤエはとにかく、こねる理屈もあるし好き嫌いもはっきりしているし自分の考えというものもあるんだけど、結局それらの中にあるのは全部自分が自分の思ったとおりにならないことへの苛立ちでしかないというキャラ。すっごい卑小な喩えをすればカ○ジナさん。

主人公の芹生は、ヤエに比べればこねる理屈には筋が通ってるし、苛立ちを他人にぶつけることはあまりないのだが、根本的にはヤエと同じ性格だと思う。この二人が付き合って、お互いイライラして……。まあ嫌な性格のキャラにありがちなのは、読んでいる方は自分を見ているようで余計イライラする。

そのイライラを、後半戦ですっきり解消してくれる。これは暗い漫画じゃないと思う。前半の方が好きだし、澄緒ちゃんよりヤエの方が好きだけど、後半も読まないと消化不良な漫画。あと絵は正直見辛い。味はある。

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[投稿:2010-10-20 22:45:55] [修正:2010-10-20 22:45:55] [このレビューのURL]

古典作品を漫画化するシリーズの中のひとつなのだが、このシリーズの他の漫画の恐ろしいまでの無味乾燥さと、『三河物語』の壮絶なまでの愚痴が組み合わさったらどうなっていたかを考えれば、出典そのままではなく彦左衛門自身の人となりを取り上げたのは、とても上手かったと思う。

安彦良和だから言うまでもなく絵は抜群に上手いし、アリオン以来歴史や神話物の漫画を多く手がけてきただけに、この作品でも江戸時代初頭の雰囲気が丁寧に描かれている。

ストーリーの方は、1巻という短さもあってややあっさりしている感じが否めないけども、キャラクターの良さで全てを許せる。彦左衛門の頑固さや意地の悪さがやがて愛おしいとさえ(ヒゲのオッサンなのに!)思えるようになるのだから。このあっさりとした感じも、読み終えると逆に短い映画を見終えたみたいで良い。

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[投稿:2010-10-20 01:08:17] [修正:2010-10-20 01:10:40] [このレビューのURL]

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