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戦国時代を作者独自の目線から斬新に描いた漫画。
主人公の仙石権兵衛秀久は信長、秀吉に仕えた武将ということで、戦国ファンにはお馴染みの信長の合戦が物語の中心として描かれている。

この漫画の特徴としては、まずは作者による現地や資料の緻密な調査に基づいた、合戦の独自の解釈が挙げられる。「だが、この定説には疑問が残る」を合言葉に、現地の地理や戦国時代の戦術を分析した上での、定説とは全く違う合戦を描いている。
また、その独自の解釈は武将やその他の設定にも生かされている。
信長、秀吉、家康、光秀といった著名な武将はもちろん、小ゴマと大ゴマを大胆かつ見事に使い分けることで、有名でない武将も大いに魅力的に描かれている。特に有名でない武将を「強敵」として描くのは作者の十八番で、作者が好意的に描いた武将は、こちら側も全て好意的に受け入れれるようになっている。

フィクション部分では、主人公・権兵衛とその幼馴染の女性・お蝶の、戦国時代という中での恋愛、そしてすれ違いを中心に描いており、ストーリーとしても十分厚みのあるものとなっている。

作品の難点を挙げるとするならば、主人公の権兵衛が若干活躍しすぎな点、権兵衛が幾度となく死の危険に瀕するが、史実に則するために絶対に死なないのが分かっている点が挙げられる。
また、上記の通り有名でない武将を「強敵」として描きすぎ、ストーリーに絡まない他の有名な武将を蔑ろにしている点や、有名な武将は特に漫画としてのデフォルメが加えられている点は、コアな戦国ファンには逆に受け入れにくいかもしれない。

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[投稿:2007-08-13 22:56:26] [修正:2007-08-13 22:56:26]

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