ホーム > 不明 > FEEL YOUNG > ヘルタースケルター

7.12点(レビュー数:8人)

作者岡崎京子

巻数1巻 (未完終了)

連載誌FEEL YOUNG:1995年~ / 祥伝社

更新時刻 2011-08-27 01:11:02

あらすじ 「もとのままのもんは骨と目ん玉と髪と耳とアソコぐらいなもんでね あとは全部つくりもんなのさ」。大掛かりな全身の整形手術とメンテナンスにより、完璧な美しさを持つモデルの「りりこ」。女優や歌手としても活躍し人気の絶頂を迎えるが、体は次々に異常を訴え始める。それにつれてりりこの心の闇も濃く、深くなり、彼女の人生はやがて手もつけられなくなるほどに壊れてゆく。
 

備考 連載終了直後、作者は交通事故に遭ってしまう。
2003年に単行本化。
2003年に文化庁メディア芸術祭・マンガ部門優秀賞、2004年に第8回手塚治虫文化賞・マンガ大賞を受賞。
 

シェア
Check

ヘルタースケルターのレビュー

点数別:
6件~ 8件を表示/全8 件

10点 クランベリーさん

本から丸ごとりりこの執念が出ている感じ。怨念と言うべきか。

決してりりこみたいにはなりたくない。
でもあの強さには憧れる、かもしれない。
あんな強さ身に付けたいとはちょっぴり思う。
でもやっぱりりりこにはなりたくない。難しいな、この感覚。
りりこの美しさって、花火は燃え尽きる直前が一番美しい、っていうのと同じだと思うから。

破綻が見えていて、でもそれに無理に抗うことよりも、限られた時間を光り輝くことを選んだりりこ。
女の子の隠れた願望かな、こういうの。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-12 21:29:29] [修正:2011-02-12 21:29:29] [このレビューのURL]

8点 とろっちさん

人間が壊れていく。 身体も、心も。
「あたしはもうすぐ使いものにならなくなる もっと長くもつかと思ってたけど……意外と早かったなあ」
全身を作り変えるほどの整形手術で美貌を手に入れたトップモデルが、
手術後の激しい後遺症とストレスに悩まされ、蝕まれて、落ちていく様を描いた作品。

平然とした中で進行していく狂気。 ちょっとした歯車のズレ。 少しずつ、確実に忍び寄る崩壊の時。
こういう話を描けば、この作者の感性に勝てる人っていないんじゃないでしょうか。
暗い話でありながら暗さを感じさせず、辛い話でありながら辛さを感じさせず、
痛くないナイフで身体をえぐり取られていくような感覚。

りりこは自分が破滅に向かって歩き続けていることを知っています。
自分が期間限定なのを知っています。

ただ、これを悲劇の話だとは感じませんでした。 むしろりりこの強さに唸らされました。
その強さは、男性では決して持ち得ない、女性ならではの強さ。
限界が目前に迫り、りりこはさらに美しく輝きます。
「りりこがいちばんキレイだったのって、この頃だったかもしんないって思うんです」

そんな中、りりことは違う世界に生きる特別な存在、吉川こずえを出すことで、
りりこという存在がさらに際立って見えてくるから凄いです。
「人間なんて皮一枚剥げば、血と肉の塊なのに」
その皮一枚が本当に若くて美しく、自分への自信が全く揺るがない、吉川こずえ。
そうではなかった、りりこ。

一般人と対極のところにりりこは存在し、あんな風にはなりたくないと思い、
でも一方で、心のどこかで共感、羨望してしまう、そういうものをりりこは持っているのでしょう。

りりこの脆さ、りりこの弱さ、りりこの逞しさ、りりこの美しさ。
りりこの強さ。

誰もりりこにはなれないのかもしれないし、誰でもりりこになり得るのかもしれません。


未完終了ということにはなっていますが、一応の話の決着はついています。
どこか含みを持たせるような終わり方ではあるものの、こういうのもありかな、と思わせてくれます。

タイトルはかの有名な曲から取ったのでしょうが、元々の意味は「すべり台」であり、
「狼狽」「混乱」の意味も併せ持つとのこと。
人間が転げ落ちていく様を表すのにこれほど適した言葉も無いのかもしれませんね。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-11-04 01:37:32] [修正:2010-11-04 01:37:32] [このレビューのURL]

7点 はっちんさん

これ、わかる人にはわかる話

アシスタントの安野モヨコが一緒にサポートしてって
違う意味で泣けてきますよね。

りりこは憧れの女優・モデル・タレント
体も、イメージもすべて作っていて

もうこの時点で共感はできないけど

ワガママで、でも優しくてって
女の子本来の特徴を示していて
読み終わった後は 言葉に表わせない錯覚に陥ります。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-04-13 09:18:44] [修正:2010-04-13 09:18:44] [このレビューのURL]


12
次の10件>>

ヘルタースケルターと同じ作者の漫画

岡崎京子の情報をもっと見る

同年代の漫画

FEEL YOUNGの情報をもっと見る