ヘルタースケルターのレビュー
10点 クランベリーさん
本から丸ごとりりこの執念が出ている感じ。怨念と言うべきか。
決してりりこみたいにはなりたくない。
でもあの強さには憧れる、かもしれない。
あんな強さ身に付けたいとはちょっぴり思う。
でもやっぱりりりこにはなりたくない。難しいな、この感覚。
りりこの美しさって、花火は燃え尽きる直前が一番美しい、っていうのと同じだと思うから。
破綻が見えていて、でもそれに無理に抗うことよりも、限られた時間を光り輝くことを選んだりりこ。
女の子の隠れた願望かな、こういうの。
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[投稿:2011-02-12 21:29:29] [修正:2011-02-12 21:29:29] [このレビューのURL]
8点 とろっちさん
人間が壊れていく。 身体も、心も。
「あたしはもうすぐ使いものにならなくなる もっと長くもつかと思ってたけど……意外と早かったなあ」
全身を作り変えるほどの整形手術で美貌を手に入れたトップモデルが、
手術後の激しい後遺症とストレスに悩まされ、蝕まれて、落ちていく様を描いた作品。
平然とした中で進行していく狂気。 ちょっとした歯車のズレ。 少しずつ、確実に忍び寄る崩壊の時。
こういう話を描けば、この作者の感性に勝てる人っていないんじゃないでしょうか。
暗い話でありながら暗さを感じさせず、辛い話でありながら辛さを感じさせず、
痛くないナイフで身体をえぐり取られていくような感覚。
りりこは自分が破滅に向かって歩き続けていることを知っています。
自分が期間限定なのを知っています。
ただ、これを悲劇の話だとは感じませんでした。 むしろりりこの強さに唸らされました。
その強さは、男性では決して持ち得ない、女性ならではの強さ。
限界が目前に迫り、りりこはさらに美しく輝きます。
「りりこがいちばんキレイだったのって、この頃だったかもしんないって思うんです」
そんな中、りりことは違う世界に生きる特別な存在、吉川こずえを出すことで、
りりこという存在がさらに際立って見えてくるから凄いです。
「人間なんて皮一枚剥げば、血と肉の塊なのに」
その皮一枚が本当に若くて美しく、自分への自信が全く揺るがない、吉川こずえ。
そうではなかった、りりこ。
一般人と対極のところにりりこは存在し、あんな風にはなりたくないと思い、
でも一方で、心のどこかで共感、羨望してしまう、そういうものをりりこは持っているのでしょう。
りりこの脆さ、りりこの弱さ、りりこの逞しさ、りりこの美しさ。
りりこの強さ。
誰もりりこにはなれないのかもしれないし、誰でもりりこになり得るのかもしれません。
未完終了ということにはなっていますが、一応の話の決着はついています。
どこか含みを持たせるような終わり方ではあるものの、こういうのもありかな、と思わせてくれます。
タイトルはかの有名な曲から取ったのでしょうが、元々の意味は「すべり台」であり、
「狼狽」「混乱」の意味も併せ持つとのこと。
人間が転げ落ちていく様を表すのにこれほど適した言葉も無いのかもしれませんね。
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[投稿:2010-11-04 01:37:32] [修正:2010-11-04 01:37:32] [このレビューのURL]
7点 はっちんさん
これ、わかる人にはわかる話
アシスタントの安野モヨコが一緒にサポートしてって
違う意味で泣けてきますよね。
りりこは憧れの女優・モデル・タレント
体も、イメージもすべて作っていて
もうこの時点で共感はできないけど
ワガママで、でも優しくてって
女の子本来の特徴を示していて
読み終わった後は 言葉に表わせない錯覚に陥ります。
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[投稿:2010-04-13 09:18:44] [修正:2010-04-13 09:18:44] [このレビューのURL]