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7.7点(レビュー数:20人)

作者三宅乱丈

巻数26巻 (完結)

連載誌コミックビーム:2006年~ / エンターブレイン

更新時刻 2012-07-16 19:44:44

あらすじ 遙かなる太古−。長く激しい戦争によって、その星は凍結した。星の名はルーン。凍らせたのは「カーマ」の民。戦後、カーマの民は、ルーンの隣星であるマージへと移り住み、「賢者」と呼ばれる最高権力者を頂点とし、奴隷民「イコル」を最下層とする階級社会を形成、四千年もの歴史を積み重ねていた。四千年。それは、過去の戦争の記憶と意味を風化させるのに、充分すぎる歳月だった。ようやくルーンの氷が溶け始めた今、カーマの民は、故郷であるルーンへの帰還を始める。かつてのカーマの敵であり、そしてその事実を忘却した「イムリ」の民の棲む、すべての母なる星ルーンへと−。

備考 2009年文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞

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イムリのレビュー

点数別:
11件~ 15件を表示/全18 件

10点 瀬能宗一郎さん

前作「ペット」の時のテーマを深堀して、より伝わりやすい設定で描かれてるように感じます。
絵とストーリーに若干のとっつきにくさはあるものの、読み進めていく上での面白さは抜群。続刊デ?ロデロ、と心待ちにしてる作品です。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-04-02 05:11:56] [修正:2012-04-02 05:11:56] [このレビューのURL]

8点 とろっちさん

あまりにも壮大なスケールのSFファンタジー。

まるで底が見えないほどに重厚な世界観、複雑ながらもしっかりと練り込まれた設定、
少しずつ謎が解き明かされていくと同時にまた新たな謎が浮かび上がる展開。
歴史や慣習はもちろんのこと、社会の支配体制、生態系や食文化に至るまで綿密に作り込まれており、
「作品世界を構築する」という言葉がこれほど当てはまる作品もなかなか無いのでは。

しかしながらこの作品、困った事に、最初に1巻を読んだ時点では何が何だか全くわからないはず。
最初から全体の構成を理解できるような作りには敢えてなっておらず、しかも用語が複雑怪奇で、
さらには作者の独特の絵柄自体が一見さんお断りな感じなので、もうかなり敷居が高くなっています。
用語も、「カーマ」、「イコル」、「イムリ」、「マージ」、「ルーン」、「デュルク」、「デュガロ」……。
全巻に詳細な用語解説や登場人物説明が載っているので、最初のうちは照らし合わせながら
読んでいくことになるでしょう。
おまけにこの作者の作品はその絵柄のために登場人物の顔が似ていてただでさえ区別しづらいのに、
各々の個性が見えにくく(見えないのではなくあくまでも見えにくい)、非常にキャラを覚えにくいです。
1巻すら読み切れずに断念してしまっても全然おかしくありません。

ただ、そこをがんばって乗り越えると、途中からふっと世界観が頭に入ってくるようになってきます。
そうなると不思議なもので、読むたびにどんどん理解できるようになります。
恐らく意図的にそういう構成になっていると思いますが、この辺りが作者の作り手としての凄さ。
もともと作品の全体的なテンポは良いので、慣れれば今度はサクサク読み進めていけます。

支配民族カーマ、奴隷民族イコル、かつてカーマと戦争を繰り広げたルーン星の原住民族イムリ。
同じ「共鳴」という能力を持っていても、全く異なる方向へ進化したカーマとイムリ。
カーマはその力を他者との共鳴、すなわち他者の精神に働きかけ人の心を操る侵犯術として特化させ、
逆にイムリはその力を物質との共鳴、すなわち「星と仲良くする」ために使ってきた。
イムリは物質の力を引き出すことで恐るべき威力を発揮する「イムリの道具」を持ち、
そんなイムリの力を恐れたカーマはイムリを力で押さえつけて支配しようとする。

大まかに言うとこんな物語ですが、「一つの民族が他の民族を征服して支配する」という作品の構造は
主人公の立ち位置とともに最初のうちはカーマ視点で、そのうちにイムリ視点で描かれるようになり、
単純な善悪二元論ではとても量り切れない深さを秘めています。
SFファンタジーなのに確かに泥臭い空気の作品ですが、失われたイムリの術を解き明かしながら
地に落ちたイムリの民が反乱すべく無骨に立ち上がるというストーリーにピッタリな感じ。
とにかく質の高さにかけては申し分のない作品です。 あとはもう好みの問題でしょうね。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-11-16 00:48:20] [修正:2011-11-16 00:53:36] [このレビューのURL]

9点 booさん

私がこのマンガを読んだのはダヴィンチの今月のプラチナ本で紹介されていたのがきっかけだった。

1巻を読んだときはどこがおもしろいのかと思ったが、先を読んでいくともう止まらない。
このベルセルクの中世ヨーロッパのような、ドロヘドロの混沌とした、ナウシカの何ともいえない美しい世界観とはまた違った三宅乱丈独特の泥臭いけれども魅力的な世界がそこにはあった。
細かいところまで設定・構成もよく練られている。
カーマの侵犯術や階級構造は興味深いし、イムリの教えや道具の謎を代表に世界の成り立ちを解き明かしていくファンタジーの王道ともいえる展開にはわくわくしっぱなしだ。
今から話がどう転がっていくのかが読めないけれど、名作になることは今のうちから断言できる。

1巻のテンポが良すぎるが故の敷居の高さでかなり損をしている気がするがそこは我慢して読みましょう。
覚えにくい人や国の名前が大量に出てくること、設定が難解、そもそも三宅乱丈初見の人には絵がとっつきにくいことなど最初はかなりきついかもしれないが、そこを乗り越えればもうこの世界にどっぷりだ。
今1番おもしろさと知名度に差がある作品だと思うし、私はタイプは違うけれども第2のナウシカになりうるんじゃないかという位に評価している。(チムリのリス?もナウシカを意識してるような部分も有り)
漫画好きなら間違えなくはまるので、質の高い作品を読みたいと思ってる人はぜひ読んでみて欲しい。
ナウシカはもちろん、上橋菜穂子さんの守り人シリーズや獣の奏者が好きな人とかは特に波長が合うんじゃないかと思う。逆もまた然りなのでこっちも薦めときます。

2011.7.11
興奮してたのか主観的すぎたのでレビューを修正

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-04-02 18:15:00] [修正:2011-07-11 01:17:14] [このレビューのURL]

7点 ジブリ好き!さん

壮大なスペクタクル
見事なSF叙事詩です。

オリジナルの世界観・用語に慣れるまで時間がかかりけど、核として描かれるのはあくまでもヒューマンドラマや心理を伴ったクーデター・革命なので、すぐになじんで没頭してしまうはず。
癖の強い画さえ大丈夫なら、文句なしに面白いと感じる作品。

まだまだ要素として深みを残していそうな、注目の一作です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-23 00:46:20] [修正:2011-04-23 00:46:20] [このレビューのURL]

8点 Hopeさん

まぎれもない名作です。
この重厚感といったらありません。
とにかく続きが気になる。

ただ重厚すぎて気軽に何度も読む気にはなれないでしょう、しかし逆にそれこそがこの作品の凄みと言えるのではないでしょうか。
あといろんな用語を覚えるのが大変です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-26 17:12:27] [修正:2010-12-26 22:46:27] [このレビューのURL]

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