ホーム > 青年漫画 > ウルトラジャンプ > 皇国の守護者

7.98点(レビュー数:72人)

作者伊藤悠

原作佐藤大輔

巻数5巻 (完結)

連載誌ウルトラジャンプ:2005年~ / 集英社

更新時刻 2012-08-31 09:48:49

あらすじ 佐藤大輔著の同名小説『皇国の守護者』が原作。サーベルタイガー・天龍などファンタジー色強い戦争物。が、内容は既得権益を守る為に足を引っ張り合う権力者や決して一枚岩ではない軍隊など、非常に現実的(というか生臭い)でもある。時代設定としては十九世紀ごろ。蒸気機関が発明されてから約二十年が立つ。
 【大協約】という人と龍が交わした契約が、世界秩序を為す世界。そこに存在する小国『皇国』と、その皇国に侵攻してきた世界最大の大国『帝国』との戦争が主な内容だが、そこに皇国内での覇権争いや経済問題、政治も絡めて描いてゆく。主人公は帝国との決戦に敗れた皇国が敗走する中、運悪く遅滞戦を命じられた皇国軍人・新城直衛。実験部隊でもある剣牙虎部隊を率い、新城は絶望的な戦線にその身を投じてゆく…。

シェア
Check

この漫画のレビュー

9点 臼井健士さん

原作は未読です。その立場から書かせていただきます。

仮想戦記として良く出来てると思います。
「皇国」は間違いなく「日本」(それも明治?大正期の)をモデルにした勢力。
そして帝国はその「日本」を脅かす「外国勢力」・・という位置づけなんでしょうが、地図上の位置関係とか、軍装なんかから見るにやはり「ロシア」をモデルにしたと見て間違いなさそうです。

その強大な勢力と版図を持つ帝国が突如として皇国の北方領土に進軍してくる。
かくて始まる「防衛戦」は 結局のところ多勢に無勢の撤退であり、主人公のいる部隊が撤退戦において最も難しいであろう「殿(しんがり)役」を命ぜられることになる。

上官は激戦において戦死し、指揮官がいなくなった軍隊を率いるのは下士官ながらも指揮官としては優秀な主人公・・・・と「活躍のためのお膳立て」は整った。
零下の静寂に包まれる白一色の雪と氷の世界。
それを打ち破る「怒号」と「悲鳴」。「血」と「泥」と「涙」は戦争の情け容赦のなさを際立たせる。

「竜」や「術」などの多少のファンタジー的な要素も物語を構成する上では程よい「隠し味」。
必死の防衛戦が功を奏して、友軍の撤退は完了。目的を果たした主人公の率いる部隊は降伏し、捕虜の立場となる。さて、原作知らぬ身としてはここからどう場面が転換していくのかが気になるところ。

「陣形」や「作戦」「戦術」などがしっかりと図にして表示されるのも理解が早くなり好感触。
今後もしっかりと付き合っていきたいと思わせる作品だったが、何と5巻で打ち切り終了してしまう。こんな良作が何故・・と思うが、原作者と作画が別だと権利関係とかで揉めるケースもあり、難しいのかも。
「キャンディ・キャンディ」の例もあるし。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-06-27 11:21:04] [修正:2022-05-13 22:59:04]

皇国の守護者と同じ作者の漫画

伊藤悠の情報をもっと見る

同年代の漫画

ウルトラジャンプの情報をもっと見る