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6.14点(レビュー数:14人)

作者光原伸

巻数15巻 (完結)

連載誌週刊少年ジャンプ:1991年~ / 集英社

更新時刻 2010-11-11 00:05:09

あらすじ 謎の美女,ミザリィは人々を不可思議な世界に連れていく案内人である。基本的にはオムニバス形式の漫画なんだけど、たまに、ミザリィが謎の組織と戦ったり、男刑事とその相棒の人形になってしまった女性とかの話もあったりします。

備考 巻末漫画。
後に文庫版(全10巻)が発売された。

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この漫画のレビュー

7点 臼井健士さん

この作品がジャンプの後のほうのページにありながらもコミックスで通算して15巻も続いたのは、ひとえに作者の「基本的にはハッピーエンドで物語を終わらせる」という姿勢にあると思う。

確かに読み通してみて気付くのは、最後は「善人が幸せになる」という結末が基本であるということ。
一例を挙げると、男の子が飛び込んだボールを捜して古びた洋館に迷い込むのだが、そこで糸に捕らえられた女の子と出会う。女の子を助けようとする少年だが、謎の女が現れて2人を捕らえようとする。

必死の思いで館を脱出した少年はわれにかえる。館は何処にもなく、少女も女も煙のように消え去っていた。
あれは夢だったのか・・・と思った少年が見付けたのは蜘蛛の巣に引っ掛かってもがいている蝶。
少年が蝶を助けてあげると、蝶は感謝するかのように少年の周りを飛び回って去っていく。
あの館での出来事は囚われた蝶が助かりたい一心で見せた幻だったのだ・・・というラストシーン。

上記の話に作者が自ら「実はラストシーンはもうひとつ考えたものがあった」と明かしている。
それは「少年が館で女に捕らえられ、現実では少年を探しに来た仲間が蜘蛛の巣で蜘蛛に喰われている少年を発見する・・・・・」というものだったらしい。
けれど、そのラストシーンは採用されなかった。作者は続けて書いている。
「そんな(悲惨な)ラストに何の意味があるだろう?」
「自分は読者にそんな思い(後味の悪い気持ち)を抱かせたくはなかった」と。

・・・・この姿勢は作品を通してほぼ貫かれていくのだが、「成功」の要因もそこにあったんだろう。
たまにミザリィの不思議グッズを悪党が手に入れて、悪用したりするのだけれど、最終的にはいずれも例外なく「上手く使いこなすことができず、悲惨な末路を迎える」。
バッドエンドの話もあるのだが、悪い目に遭うのは「悪党のみ」で「善人は悲惨な目に遭うことは基本的になし」。
怒らせると怖い案内人の「ミザリィ」も、悪人には強烈なお仕置きを食らわせても、善人を陥れたりは決してしていない。
このハッピーエンドと、たまに挿入されるバッドエンドの話の比率が「7対3」もしくは「8対2」くらいの印象で、「匙加減」が絶妙だった。

大体の読者は物語は「ハッピーエンド」のほうが好印象を抱く傾向にあるというデータも出ている。
「バッドエンド」のほうが印象は強烈なものとなって心に刻み込まれるものらしい。
ただ、バッドエンドだと読後感は当然良くはならないので、ある程度の批判や悪評も覚悟せねばならないだろう。

漫画に限らず映画でもゲームでもドラマでも制作する側は「この事実」を良く認識して制作をすると、好評を得られる作品を作りやすいのではないかと思う。
この作品は上記を実践して、「実際に成功を収めたモデルケース」と自分は考えています。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-12-04 18:53:45] [修正:2010-12-04 18:53:45]

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