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7.83点(レビュー数:18人)

作者かわぐちかいじ

巻数32巻 (完結)

連載誌モーニング:1989年~ / 講談社

更新時刻 2010-08-15 12:03:13

あらすじ 日米は、世界でも類をみない高性能な原子力潜水艦「シーバット」を、極秘裡に造り上げる。日本によって資金、技術提供をされた日本初の原潜であったが、米第7艦隊所属という、数奇の宿命を背負った落とし子でもあった。艦長には、海自一の操艦と慎重さを誇る海江田四郎が任命された。が、海江田は突如、試験航海中に指揮下を離れ、深海へと潜行する。米軍は「シーバット」を敵と見なし、撃沈のため第3、第7艦隊を南太平洋に集結。しかし、大胆にもシーバットは艦隊中最大の空母「カールビンソン」の目前に堂々と浮上。独立国家「やまと」を全世界に向けて宣言したのだった。

備考 1990年に第14回講談社漫画賞一般部門を受賞。アニメ・ラジオドラマ化もされている。

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この漫画のレビュー

9点 kamekameさん

名作。考えられた構成でフィナーレまで一気に突っ走る。
物語を形作る上で余計なものがなく、引き延ばしの気配も微塵も感じられない。
ファンが多いのもの頷ける。

大きくとらえて以下の物語の軸となるものがあると思う。

まず第一に潜水艦と言う特殊な兵器を扱ったこと。
それが引き起こす様々なシチュエーションが新鮮でならない。
戦闘シーンは深海という、これまた光もレーダー届かない世界の特殊性も手伝って
見たことがないバトルシーンをリアルな描写で見せてくれる。

第二に核兵器という題材を取り扱ったこと。
抑止力と言うものを考えさせられるのだが、これによって心理戦の面白みに厚みが出ている。

第三に外交を含む安全保障の問題を取り扱ったこと。
日米関係、政党再編、自衛隊問題、国連、付け加えてロイズ保険…。
すべてのことに答えを出していく訳ではないが、エンターテイメントとして
扱い辛いこれらの要素が生き生きと描写される。

以上の三つの要素が海江田艦長とその理念を中心とした渦の中で
ストリートして紡がれていく様は圧巻。

たしかに情報量が多く32巻と言う長さはかなりのボリュームで、
読むのは大変だが、まだの方は是非読んで欲しい。

蛇足だが、昨今の日本を取り巻く情勢(対米、中、ロ、朝)の中で改めて読み直してみると
連載当時とはまた違った味がある。参考になるとかいうバカな話ではなく、
色々な判断をする上での自分お立ち位置の確認や、
しっかりした情報の取捨選択の必要性など、改めて考えさせられた。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-10-01 17:43:26] [修正:2010-10-01 17:43:26]

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