「kamekame」さんのページ

総レビュー数: 21レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年07月28日

5.5を付けたかった。間違いなく良作であり、読んで損はない。

キャラクターの設定がしっかりしていて、
色々な意味で非常に狭い範囲、世界で物語が進行していく。
急に人物が成長したり、後付け的に性格が変わったり成長などはしないし、
人間関係の変化も日常的に自然な範囲内で、
ドラマティックな展開はほとんどない。漫画なのに・・・(笑)
だが、それが良い。

また、タイトルが「機動警察パトレイバー」というメカチックなものであるにも関わらず、
いわゆるロボット物のしつこさがない所も変わっている。
描き方がおざなりと言うことではない。
『レイバー』というロボットが極々自然な存在として、
あまり現代と変わりない世界に描かれている。
演出が良い意味で少年誌っぽさがなく、誇張表現が少ないのだ。

最終的に今回の中庸な採点に至ったのは、
この漫画の魅力に作者自身が若干無自覚で、整理しきれてないのでは?と感じるから。
本質的な魅力は「あずまんが大王」「横浜買い出し紀行」などと
共通の底流部分にあると思うのだが、
十分に焦点を当てきれているとはいえない点が残念

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-17 21:49:50] [修正:2011-05-17 21:51:05] [このレビューのURL]

アトランティスの伝説を真直ぐに掘り下げていく様に好感が持てる作品。
史実以外にも、巧みにオリジナル創作の出展などを絡め
考古学的な気分を存分に盛り上げてくれるので、そういった作品が好きな方にはオススメ。

東周斎雅楽原作、魚戸おさむ作画というコンビは安心感があって良いのだが、
このベテラン二人の作品にしては後半のまとまり感は薄い。
原作の長崎尚志(東周斎雅楽)は本気でライフワークとして
アトランティスを追っているのではないかと邪推してしまうほど作者の思いが強く
読み手への配慮が緩い(緩いとは言っても稚拙と言うことはない)エンディングだ。
ある意味、20世紀少年のプロット共同制作者とは思えない。
己の中に溜込んだアトランティスへの思いを、吐き出しているようでもあるが、
決して不快でなく熱さを感じるだろう。

あえて欠点を書けば
人物、さらに言うならば人物同士の関係が作中でもっとダイナミックに動いていけば
誰が呼んでも楽しめる作品になったのではなかろうか。


余談だが、
2007年の連載完了時に作中でアトランティスのあった場所として結論づけられた場所が
2011年3月にコネチカット州ハートフォード大学のリチャード・フルンド教授が率いる
国際調査チームが発表した比定地と同じだった。
真偽の程はともかく、ロイターの和訳記事があるので興味ある方は
作品を読んだ後に『海底に沈んだとされる古代都市「アトランティス」を発見か』で
検索してみて下さい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-05-12 01:18:21] [修正:2011-05-12 01:20:26] [このレビューのURL]

料理バトル漫画でありながら、きちんと少年漫画している良作。
主人公の少年の成長を通しながら、料理の奥深さを紹介してくれる。

料理バトル漫画は華美でキテレツな料理ばかりが出てくる傾向があるが、
親しみやすい料理や素材を取り上げることで、
読者をおいてけぼりにしないのは好印象。
「鳳凰水晶」の話などは個人的に着眼点が特に素晴らしいと感じた。
絵柄も素直で読みやすく、キャラクターの癖のなさは好みが分かれるところだが
少年漫画として考えれば作品を貶めるほどでもない。

難点を上げるとすれば、主人公の成長が急激過ぎること。
最高峰とされる特級厨師に登り詰めるのに1年未満なのはどうなんだろうか。
また、続編「真・中華一番」との絡みも大きく疑問。
区切るのであれば4巻で一段落にするべきだったのでは。

そのあたりを差し引いて6点としました。
それからこれから読まれる方には、続編の評価も一読されることをオススメします。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-11 15:11:22] [修正:2010-11-11 15:13:32] [このレビューのURL]

「その答えを求め続けると気のふれる問がある」
「自分は何故ここにいるのか」
「何処より来たりて何処へ向かうのか…」
「実に人はこの問を忘れる為に人を愛し
    この問から逃れる為に神を求める」

このモノローグから始まる物語は、真実このことを作中で求め続けていく。
間違いなく漫画という枠を超えた希有のSF作品。
ひとつの宗教作品のようでもあり、哲学書のようでもあり、
日本人として魂の根底にある何かを揺さぶる民族学の本のようでもある。
実に気持ち良く読み手の心を、イメージの感応力を広げてゆく。

だが小難しいと言うことではない。
少女漫画らしいが完成された絵柄に無駄のない背景。
厳選されたセリフで導かれる物語は簡潔明瞭であっという間に読み切れるだろう。

個人的に気に入っているのは、
世界観を構築するうえでの一助となっている名詞の響きの良さ。
「亜神(あしん」「威神(いしん)」「真言告(まことのり)」「神名(かむな)」etc.
「言霊」という言葉がぴったりなほど美しく、染込むように体に入ってくる。

10点をつける作品というのは、呆れるほどの読んでいるにもかかわらず
思い余って魅力を上手く伝えることができず、もどかしい。
なんとかより多くの人に手に取ってもらって、是非読んでもらいたい作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-02 21:01:32] [修正:2010-11-02 21:09:09] [このレビューのURL]

5点 海皇紀

文明が衰退した時代に、天才的な船乗りで武道の達人でもある主人公が
帆船を巧みに操り世界のうねりに身を投じていく・・・。
海皇紀の名に恥じないスケール感のある物語。
特に帆船による海戦は、本当かどうかは別にして
大変リアリティを感じさせ読むものを一瞬で虜にする。
素晴らしい作品・・・になるはずだったが、個人的には失敗してしまったと思う。

プロットは完璧だったと思う。
古の文明が残した魔道と言う名の科学、魅力的な海の一族、若き大陸の霸王と天才軍使、
大陸一の兵法者、闇の魔神衆、主人公の母、魅力的?なヒロイン達等々、
ライバルから味方まで主要なキャラクターを早い段階から配置する巧みさ、
なによりも帆船の操船というほとんどの人間が知り得なかった世界の真新しさ。
事実、王海走という次代の海王を決める大型帆船レースの直後までは10点満点の出来映え。
しかし、最終的な敵(もしくは敵勢力)に魅力がなかったこと、
序盤から暖めてきたキャラを生かし切れなかったこと、
満足のいく伏線の回収が出来ぬまま尻すぼみにエンディングをむかえてしまう…。

決してひど過ぎる作品と言うことはない。
序盤の出来に過度に期待し過ぎて、私が勝手に裏切られた思いになっているだけかもしれない。
でも45巻と言う長さを考えてもいまひとつやり切れない。
そんな気持ちを言葉にすると「ヘメロペカペカ」…。文字通り言葉にならない。

作品の完成度が低い訳ではないので、5点の評価です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-10-30 21:50:08] [修正:2010-10-30 22:14:33] [このレビューのURL]

もっと1つ1つのエピソードを丁寧に描いて欲しかった。
各時代のシーンが唐突に織り込まれるので、状況をつかむのに時間が掛かる。
膨大な時を過ごしていく主人公達にもかかわらずキャラクターに厚みが増していかないので、
感情移入がほとんど出来ないシーンが続く。

いきなりネガティブなことを書いてしまったが、この作品がつまらないということではない。
不老不死の吸血鬼伝説と義経、弁慶の主従を絡ませた原作のプロットは本当に新しい。
能の黒塚とも違う、ひとつのSF作品として見事に成立していて
野口賢の絵とのマッチングも素晴らしい。

コンパクトに10巻にまとめられているので、気軽に一気読みが出来るのもポイント。
オススメできる良作漫画だ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-10-19 15:14:46] [修正:2010-10-20 11:36:07] [このレビューのURL]

名作。考えられた構成でフィナーレまで一気に突っ走る。
物語を形作る上で余計なものがなく、引き延ばしの気配も微塵も感じられない。
ファンが多いのもの頷ける。

大きくとらえて以下の物語の軸となるものがあると思う。

まず第一に潜水艦と言う特殊な兵器を扱ったこと。
それが引き起こす様々なシチュエーションが新鮮でならない。
戦闘シーンは深海という、これまた光もレーダー届かない世界の特殊性も手伝って
見たことがないバトルシーンをリアルな描写で見せてくれる。

第二に核兵器という題材を取り扱ったこと。
抑止力と言うものを考えさせられるのだが、これによって心理戦の面白みに厚みが出ている。

第三に外交を含む安全保障の問題を取り扱ったこと。
日米関係、政党再編、自衛隊問題、国連、付け加えてロイズ保険…。
すべてのことに答えを出していく訳ではないが、エンターテイメントとして
扱い辛いこれらの要素が生き生きと描写される。

以上の三つの要素が海江田艦長とその理念を中心とした渦の中で
ストリートして紡がれていく様は圧巻。

たしかに情報量が多く32巻と言う長さはかなりのボリュームで、
読むのは大変だが、まだの方は是非読んで欲しい。

蛇足だが、昨今の日本を取り巻く情勢(対米、中、ロ、朝)の中で改めて読み直してみると
連載当時とはまた違った味がある。参考になるとかいうバカな話ではなく、
色々な判断をする上での自分お立ち位置の確認や、
しっかりした情報の取捨選択の必要性など、改めて考えさせられた。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-10-01 17:43:26] [修正:2010-10-01 17:43:26] [このレビューのURL]

よくあるストーリー設定にキャラクター。
だが、絵柄と展開に安定感があるのでスイスイと読める。
人物描写も真っ当なもので少年誌らしい。

だが、どうにも途中で投げ出した感が拭えない。
個人的には、打ち切られた作品を読むと編集部に対して憤りを覚えることが多いのだが、
この作品に対してはそういう感情がわかない。
おそらく、どうしても話を続けたい、世界を描き切りたいと言う情熱を
終盤の誌面から感じ取れなかったからだと思う。
勿体ないなー、と言う気にはならないのだ。

5点をつけるべきか2点にするべきか悩んだが、
連載が終了した本当の事情を知らないので、高め選択で。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-29 03:48:33] [修正:2010-09-29 03:48:33] [このレビューのURL]

これぞ少年漫画。

こんなに気持ちの良い性格の主人公は希有だ。有る意味、嫉妬を覚えるほど。
当時としては妖怪モノを明るく描くスタイルが斬新だったし、
物語の後半で明らかにになる、相方「とら」の出自がより物語に深さを出している。
また画風も誰にも似ていないタッチでありながら上質。
「うしお」の元気な眉毛にマッチしていて、
本当に世界観の安定に大きな役割を果たしている。
9点をつけたい作品だ。

だが、改めて一気に読み返すと、週刊連載の弊害が見て取れなくもない。
本当に33巻も必要だったか? 25巻ぐらいで収まったのではないか?
途中で出てきたキャラは最終決戦にてもちろん再登場するし、
サイドキャラのパーソナリティに深みを出すためだから無駄とは言い切れない。
しかしながら、それによって物語の本筋がぼやけてしまっているのは否めない。
コンパクトにすれば、もっと熱くビビットに展開できたのでは?と思ってしまう。
この問題は書き下ろしではなく連載形式が主流であるかぎり、
どんな作品にもついて回るものなので根が深いとは思うが…。

グダグダ書いたが、間違いなく自分の子供にも「読めっ!」と強制する良作。
オススメです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-26 04:26:33] [修正:2010-09-26 04:26:33] [このレビューのURL]

8点 BIOMEGA

これぞSF。物語と共に広がっていく世界にぶっ飛ばされた。
地球上でのバイオハザードな展開だけでも十分楽しめたのに
紐状の48億キロメートルの構造物って…。

私見を述べれば、この作者の現時点の最高傑作は「BLAME!」だと思う。
真にエポックメイキングな作品である。
だが、それゆえに敷居が高いと感じる人もいるかもしれない。
もし、どちらもまだ読まれていない方がいるのなら
「バイオメガ」で肩慣らしをしてから「BLAME!」を読むことをオススメする。

本作自体は6巻構成のシンプルな作品だ。
しかし、そこに展開される世界はスピーディーで濃密。
エンディングの切なさも良い。(連載時に読んだ時は、一瞬頭が?マークになったけど)
作中で使われる「東亜重工」「CEU」などロゴデザインも
ロゴデザイナーもびっくりな繊細な感覚が反映されている。
とにかく見るべき点が多い。

センスがあってスタイリッシュってこういう作品のことを言うのだと思います。
某死神漫画の作者の方、聞いていますか?

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-14 23:34:51] [修正:2010-09-14 23:42:25] [このレビューのURL]

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