「kamekame」さんのページ

総レビュー数: 21レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年07月28日

よくあるストーリー設定にキャラクター。
だが、絵柄と展開に安定感があるのでスイスイと読める。
人物描写も真っ当なもので少年誌らしい。

だが、どうにも途中で投げ出した感が拭えない。
個人的には、打ち切られた作品を読むと編集部に対して憤りを覚えることが多いのだが、
この作品に対してはそういう感情がわかない。
おそらく、どうしても話を続けたい、世界を描き切りたいと言う情熱を
終盤の誌面から感じ取れなかったからだと思う。
勿体ないなー、と言う気にはならないのだ。

5点をつけるべきか2点にするべきか悩んだが、
連載が終了した本当の事情を知らないので、高め選択で。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-29 03:48:33] [修正:2010-09-29 03:48:33] [このレビューのURL]

これぞ少年漫画。

こんなに気持ちの良い性格の主人公は希有だ。有る意味、嫉妬を覚えるほど。
当時としては妖怪モノを明るく描くスタイルが斬新だったし、
物語の後半で明らかにになる、相方「とら」の出自がより物語に深さを出している。
また画風も誰にも似ていないタッチでありながら上質。
「うしお」の元気な眉毛にマッチしていて、
本当に世界観の安定に大きな役割を果たしている。
9点をつけたい作品だ。

だが、改めて一気に読み返すと、週刊連載の弊害が見て取れなくもない。
本当に33巻も必要だったか? 25巻ぐらいで収まったのではないか?
途中で出てきたキャラは最終決戦にてもちろん再登場するし、
サイドキャラのパーソナリティに深みを出すためだから無駄とは言い切れない。
しかしながら、それによって物語の本筋がぼやけてしまっているのは否めない。
コンパクトにすれば、もっと熱くビビットに展開できたのでは?と思ってしまう。
この問題は書き下ろしではなく連載形式が主流であるかぎり、
どんな作品にもついて回るものなので根が深いとは思うが…。

グダグダ書いたが、間違いなく自分の子供にも「読めっ!」と強制する良作。
オススメです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-26 04:26:33] [修正:2010-09-26 04:26:33] [このレビューのURL]

8点 BIOMEGA

これぞSF。物語と共に広がっていく世界にぶっ飛ばされた。
地球上でのバイオハザードな展開だけでも十分楽しめたのに
紐状の48億キロメートルの構造物って…。

私見を述べれば、この作者の現時点の最高傑作は「BLAME!」だと思う。
真にエポックメイキングな作品である。
だが、それゆえに敷居が高いと感じる人もいるかもしれない。
もし、どちらもまだ読まれていない方がいるのなら
「バイオメガ」で肩慣らしをしてから「BLAME!」を読むことをオススメする。

本作自体は6巻構成のシンプルな作品だ。
しかし、そこに展開される世界はスピーディーで濃密。
エンディングの切なさも良い。(連載時に読んだ時は、一瞬頭が?マークになったけど)
作中で使われる「東亜重工」「CEU」などロゴデザインも
ロゴデザイナーもびっくりな繊細な感覚が反映されている。
とにかく見るべき点が多い。

センスがあってスタイリッシュってこういう作品のことを言うのだと思います。
某死神漫画の作者の方、聞いていますか?

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-14 23:34:51] [修正:2010-09-14 23:42:25] [このレビューのURL]

ほぼ30年前の作品だが古さは感じない。
安彦良和にとって初の本格的な漫画作品なのにおそろしく完成されている。
中学生の頃に読んで、舞台設定の下敷きになっているギリシア神話の世界にに興味を持った。
(実際はそれほど神話には忠実ではないが。)

周知のことだが、この作者はガンダム関連以外にも数多くの歴史物を書いている。
中でも「王道の狗」「虹色のトロツキー」などの近代ものの評判が良いのだが、
個人的には、「ナムジ」「神武」などの『神話以上歴史未満』の題材を扱った作品でこそ、
真骨頂を発揮し生き生きと描いていると思う。その原形となっているのがこの「アリオン」。
そういった意味でも読む価値有りです。

ただし、エンディングの安易さだけはいただけない…。

とにもかくにも、現在も中公文庫からコミック版が発売されていますので、
お一つどうぞ!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-12 18:18:00] [修正:2010-09-12 18:24:09] [このレビューのURL]

6点 RED

主人公の復讐のために数多くのキャラクターの想いが
波のうねりのようにエンディングへ向けて交錯していく展開が良い。
残酷なシーンも多いのだが、それぞれのキャラ設定がそうさせるのか、
それほど暗い気持ちにならずに一気に読めるはず。

アメリカ先住民族という扱い辛いテーマに踏み込んだことも好感。
ただ、それだけにディティールの描写に不満がある。
読み進むことで当時のインディアンへの理解が深まるかは微妙で
1800年代に行われた数々の弾圧行為には、それとなくでも触れて欲しかった。
青年誌での連載だったのだから、その辺は抑えるべきでは? と思う。
あと、地理的な距離感の描写が欠落しているのが気になった。
ダコタとニューヨークのある東海岸が、まるで大阪と名古屋のような距離感に感じられ…。
ま、歴史漫画のようなディティールを求めることが筋違いなのかもしれないですね。

復讐劇にもかかわらず希望の持てるエンディングはgood!
作者の情熱も含めて楽しんで欲しい作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-09 18:20:12] [修正:2010-09-09 18:20:12] [このレビューのURL]

・初めて読んだ後の感想→「良く分からんが、パワーを感じる漫画だな…」
・設定集やweb上のまとめページを傍らに読んだ2度目→
 「うぉー、設定細けー、登場人物多すぎー、でも面白ぇー」
・さらに整理して読んだ3度目以降→「深ぇー」

初回はまるで塩野七生の文芸大作、『ローマ人の物語』を
古代ローマ史の予備知識無しに読んでいるようなもの。
「ハンニバル、カモーン」「カエサル、カモーン」「トライアヌス、カモーン」な、
展開を予測してワクワクするためのバックボーンがないままに、
歴史小説とか叙事詩を読むのに似ている。有る意味無謀な漫画である(笑)。

なので、2回目以降は巻末の年表などを学習しながら読み進めることになる。
しかし、年表の設定期間は56億7千万年。
その上、出来事はすべて作者の作り出した架空のモノ。無茶な漫画である(笑)。
以後はその世界を読み解いていくのだが、
設定が細かく、今のところ大きな破綻がないので、どんどん引き込まれていく…。
そうなればしめたもの(?)。幸か不幸か作品に嵌まれたとを喜ぶべきだ。

絵に癖があり、すらすらと頁をめくってあっという間に読み終えるような作品ではない。
個人的には出来るだけ多くの人にオススメしたいが、
受け付けない人がいるのも納得できる。少なくとも定食屋で暇つぶしにとか、
疲れた心をリフレッシュしてくれるようなことは期待出来ない。
他の方も書かれているが、これは漫画とは別のものなのかもしれないし…。

休載しっぱなしで(再開の予定はあるようだが)、
完結の見込みがあるのか微妙なので、今のところ8点。
完結したら10点もあり得る作品だと思います。

[追記(蛇足)]
備考のところに挙がっているお二人の作品も読んでいることに気がつき、
レビューとは無関係に少し鬱になりました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-01 17:52:26] [修正:2010-09-01 18:10:41] [このレビューのURL]