「kamekame」さんのページ

総レビュー数: 21レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年07月28日

これぞ少年漫画。

こんなに気持ちの良い性格の主人公は希有だ。有る意味、嫉妬を覚えるほど。
当時としては妖怪モノを明るく描くスタイルが斬新だったし、
物語の後半で明らかにになる、相方「とら」の出自がより物語に深さを出している。
また画風も誰にも似ていないタッチでありながら上質。
「うしお」の元気な眉毛にマッチしていて、
本当に世界観の安定に大きな役割を果たしている。
9点をつけたい作品だ。

だが、改めて一気に読み返すと、週刊連載の弊害が見て取れなくもない。
本当に33巻も必要だったか? 25巻ぐらいで収まったのではないか?
途中で出てきたキャラは最終決戦にてもちろん再登場するし、
サイドキャラのパーソナリティに深みを出すためだから無駄とは言い切れない。
しかしながら、それによって物語の本筋がぼやけてしまっているのは否めない。
コンパクトにすれば、もっと熱くビビットに展開できたのでは?と思ってしまう。
この問題は書き下ろしではなく連載形式が主流であるかぎり、
どんな作品にもついて回るものなので根が深いとは思うが…。

グダグダ書いたが、間違いなく自分の子供にも「読めっ!」と強制する良作。
オススメです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-26 04:26:33] [修正:2010-09-26 04:26:33] [このレビューのURL]

8点 BIOMEGA

これぞSF。物語と共に広がっていく世界にぶっ飛ばされた。
地球上でのバイオハザードな展開だけでも十分楽しめたのに
紐状の48億キロメートルの構造物って…。

私見を述べれば、この作者の現時点の最高傑作は「BLAME!」だと思う。
真にエポックメイキングな作品である。
だが、それゆえに敷居が高いと感じる人もいるかもしれない。
もし、どちらもまだ読まれていない方がいるのなら
「バイオメガ」で肩慣らしをしてから「BLAME!」を読むことをオススメする。

本作自体は6巻構成のシンプルな作品だ。
しかし、そこに展開される世界はスピーディーで濃密。
エンディングの切なさも良い。(連載時に読んだ時は、一瞬頭が?マークになったけど)
作中で使われる「東亜重工」「CEU」などロゴデザインも
ロゴデザイナーもびっくりな繊細な感覚が反映されている。
とにかく見るべき点が多い。

センスがあってスタイリッシュってこういう作品のことを言うのだと思います。
某死神漫画の作者の方、聞いていますか?

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-14 23:34:51] [修正:2010-09-14 23:42:25] [このレビューのURL]

・初めて読んだ後の感想→「良く分からんが、パワーを感じる漫画だな…」
・設定集やweb上のまとめページを傍らに読んだ2度目→
 「うぉー、設定細けー、登場人物多すぎー、でも面白ぇー」
・さらに整理して読んだ3度目以降→「深ぇー」

初回はまるで塩野七生の文芸大作、『ローマ人の物語』を
古代ローマ史の予備知識無しに読んでいるようなもの。
「ハンニバル、カモーン」「カエサル、カモーン」「トライアヌス、カモーン」な、
展開を予測してワクワクするためのバックボーンがないままに、
歴史小説とか叙事詩を読むのに似ている。有る意味無謀な漫画である(笑)。

なので、2回目以降は巻末の年表などを学習しながら読み進めることになる。
しかし、年表の設定期間は56億7千万年。
その上、出来事はすべて作者の作り出した架空のモノ。無茶な漫画である(笑)。
以後はその世界を読み解いていくのだが、
設定が細かく、今のところ大きな破綻がないので、どんどん引き込まれていく…。
そうなればしめたもの(?)。幸か不幸か作品に嵌まれたとを喜ぶべきだ。

絵に癖があり、すらすらと頁をめくってあっという間に読み終えるような作品ではない。
個人的には出来るだけ多くの人にオススメしたいが、
受け付けない人がいるのも納得できる。少なくとも定食屋で暇つぶしにとか、
疲れた心をリフレッシュしてくれるようなことは期待出来ない。
他の方も書かれているが、これは漫画とは別のものなのかもしれないし…。

休載しっぱなしで(再開の予定はあるようだが)、
完結の見込みがあるのか微妙なので、今のところ8点。
完結したら10点もあり得る作品だと思います。

[追記(蛇足)]
備考のところに挙がっているお二人の作品も読んでいることに気がつき、
レビューとは無関係に少し鬱になりました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-01 17:52:26] [修正:2010-09-01 18:10:41] [このレビューのURL]

凄いなぁ、この作品。
個人的には苦手なテーマなのに一気に読んだ。
連載中の作品のレビューは控えていたのに、どうでも良くなってしまった。

性の不一致に対する悩みが主題のような気もするが、
思春期(その一歩手前?)特有の一般的な悩みがテーマであるような気もする。
苦手なテーマにもかかわらず妙に共感したのは、
自分の中にもきっとそういう部分があるのだろう。
二鳥君の女成分は9:1らしいが、
自分の自己分析は4:6…。程度の差だと感じた。
小学生の頃、年上の女性にカワイイといわれると嬉しかったし、
手や髪がキレイといわれるのも嬉しかったもの。

あー、それがすっかり加齢臭のする子持ちのオッサンになってしまった。
それでも読んでいて懐かしく思えるから、
きっと誰にでもある(ありえる)テーマの作品なのだと思う。

こういう繊細なことを作者は記憶しているのか?
新たに創作するのか?
その点も凄いと思った次第です。 

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-08-15 03:14:42] [修正:2010-08-15 03:24:38] [このレビューのURL]