「kamekame」さんのページ

総レビュー数: 21レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年07月28日

料理バトル漫画でありながら、きちんと少年漫画している良作。
主人公の少年の成長を通しながら、料理の奥深さを紹介してくれる。

料理バトル漫画は華美でキテレツな料理ばかりが出てくる傾向があるが、
親しみやすい料理や素材を取り上げることで、
読者をおいてけぼりにしないのは好印象。
「鳳凰水晶」の話などは個人的に着眼点が特に素晴らしいと感じた。
絵柄も素直で読みやすく、キャラクターの癖のなさは好みが分かれるところだが
少年漫画として考えれば作品を貶めるほどでもない。

難点を上げるとすれば、主人公の成長が急激過ぎること。
最高峰とされる特級厨師に登り詰めるのに1年未満なのはどうなんだろうか。
また、続編「真・中華一番」との絡みも大きく疑問。
区切るのであれば4巻で一段落にするべきだったのでは。

そのあたりを差し引いて6点としました。
それからこれから読まれる方には、続編の評価も一読されることをオススメします。

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[投稿:2010-11-11 15:11:22] [修正:2010-11-11 15:13:32] [このレビューのURL]

「その答えを求め続けると気のふれる問がある」
「自分は何故ここにいるのか」
「何処より来たりて何処へ向かうのか…」
「実に人はこの問を忘れる為に人を愛し
    この問から逃れる為に神を求める」

このモノローグから始まる物語は、真実このことを作中で求め続けていく。
間違いなく漫画という枠を超えた希有のSF作品。
ひとつの宗教作品のようでもあり、哲学書のようでもあり、
日本人として魂の根底にある何かを揺さぶる民族学の本のようでもある。
実に気持ち良く読み手の心を、イメージの感応力を広げてゆく。

だが小難しいと言うことではない。
少女漫画らしいが完成された絵柄に無駄のない背景。
厳選されたセリフで導かれる物語は簡潔明瞭であっという間に読み切れるだろう。

個人的に気に入っているのは、
世界観を構築するうえでの一助となっている名詞の響きの良さ。
「亜神(あしん」「威神(いしん)」「真言告(まことのり)」「神名(かむな)」etc.
「言霊」という言葉がぴったりなほど美しく、染込むように体に入ってくる。

10点をつける作品というのは、呆れるほどの読んでいるにもかかわらず
思い余って魅力を上手く伝えることができず、もどかしい。
なんとかより多くの人に手に取ってもらって、是非読んでもらいたい作品です。

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[投稿:2010-11-02 21:01:32] [修正:2010-11-02 21:09:09] [このレビューのURL]