「kamekame」さんのページ

総レビュー数: 21レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年07月28日

名作。考えられた構成でフィナーレまで一気に突っ走る。
物語を形作る上で余計なものがなく、引き延ばしの気配も微塵も感じられない。
ファンが多いのもの頷ける。

大きくとらえて以下の物語の軸となるものがあると思う。

まず第一に潜水艦と言う特殊な兵器を扱ったこと。
それが引き起こす様々なシチュエーションが新鮮でならない。
戦闘シーンは深海という、これまた光もレーダー届かない世界の特殊性も手伝って
見たことがないバトルシーンをリアルな描写で見せてくれる。

第二に核兵器という題材を取り扱ったこと。
抑止力と言うものを考えさせられるのだが、これによって心理戦の面白みに厚みが出ている。

第三に外交を含む安全保障の問題を取り扱ったこと。
日米関係、政党再編、自衛隊問題、国連、付け加えてロイズ保険…。
すべてのことに答えを出していく訳ではないが、エンターテイメントとして
扱い辛いこれらの要素が生き生きと描写される。

以上の三つの要素が海江田艦長とその理念を中心とした渦の中で
ストリートして紡がれていく様は圧巻。

たしかに情報量が多く32巻と言う長さはかなりのボリュームで、
読むのは大変だが、まだの方は是非読んで欲しい。

蛇足だが、昨今の日本を取り巻く情勢(対米、中、ロ、朝)の中で改めて読み直してみると
連載当時とはまた違った味がある。参考になるとかいうバカな話ではなく、
色々な判断をする上での自分お立ち位置の確認や、
しっかりした情報の取捨選択の必要性など、改めて考えさせられた。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-10-01 17:43:26] [修正:2010-10-01 17:43:26] [このレビューのURL]

9点 寄生獣

散々語られてきた作品に新たなレビューもなんのなので、
オッサンの感傷文を一筆お目汚しに。

この作品との出会いは単行本の5巻が発売になった15年ほど前。
当時住んでいた東京は千歳船橋駅近くの書店に平積みされていて、
今思えばそれほど強烈な表紙でもないのに、
魅入られるように手に取りそのままハマってしまった。

少年ジャンプではスラムダンクが佳境に入った頃、
ネットもない時代で漫画の評判は口コミが頼りだったが、
新刊が発売になると大学のゼミの長机に
専門書と共に違和感なく複数置かれていた光景を覚えている。
あっという間に浸透してカルトな人気になっていった。
バブルがはじけ、阪神の震災、オウム関連の事件が起き
転げ落ちるように暗くなっていく世相に
ほの暗い作風が合っていたのかもしれない。

その後も事あるごとに読み返してきたが、いまだに色あせない。
私なんかに言われるまでもなく、語りづかれる名作になるだろう。
満点にしなかった(気持ち的には9.5点をつけたかった)のは、
作者の現行作品「ヒストリエ」に期待しているため。
大作になるのが必至のテーマなので、早く進んでくれることを切に願ってます。
「アッララララ−−−−−−−−−イ!!」(違っ)

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-08-17 11:23:40] [修正:2010-08-17 11:23:40] [このレビューのURL]

とてもおすすめです!
描かれているのは、酪農の新しいあり方など文章にするとお堅い感じのものですが、
1巻読み終わる頃には何故か癒されていること請け合いです。
それはこの作品が、視野を広げて本質みることが
心を豊にしてくれることを教えてくれるからかも。
せかせかした気分を落ち着かせたい時にもうってつけ。
レビューになっていませんが、機会がありましたら是非読んで下さい。
いやー、本当に不思議な作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-08-07 13:26:10] [修正:2010-08-07 18:42:55] [このレビューのURL]