「kamekame」さんのページ

総レビュー数: 21レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年07月28日

ほぼ30年前の作品だが古さは感じない。
安彦良和にとって初の本格的な漫画作品なのにおそろしく完成されている。
中学生の頃に読んで、舞台設定の下敷きになっているギリシア神話の世界にに興味を持った。
(実際はそれほど神話には忠実ではないが。)

周知のことだが、この作者はガンダム関連以外にも数多くの歴史物を書いている。
中でも「王道の狗」「虹色のトロツキー」などの近代ものの評判が良いのだが、
個人的には、「ナムジ」「神武」などの『神話以上歴史未満』の題材を扱った作品でこそ、
真骨頂を発揮し生き生きと描いていると思う。その原形となっているのがこの「アリオン」。
そういった意味でも読む価値有りです。

ただし、エンディングの安易さだけはいただけない…。

とにもかくにも、現在も中公文庫からコミック版が発売されていますので、
お一つどうぞ!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-12 18:18:00] [修正:2010-09-12 18:24:09] [このレビューのURL]

6点 RED

主人公の復讐のために数多くのキャラクターの想いが
波のうねりのようにエンディングへ向けて交錯していく展開が良い。
残酷なシーンも多いのだが、それぞれのキャラ設定がそうさせるのか、
それほど暗い気持ちにならずに一気に読めるはず。

アメリカ先住民族という扱い辛いテーマに踏み込んだことも好感。
ただ、それだけにディティールの描写に不満がある。
読み進むことで当時のインディアンへの理解が深まるかは微妙で
1800年代に行われた数々の弾圧行為には、それとなくでも触れて欲しかった。
青年誌での連載だったのだから、その辺は抑えるべきでは? と思う。
あと、地理的な距離感の描写が欠落しているのが気になった。
ダコタとニューヨークのある東海岸が、まるで大阪と名古屋のような距離感に感じられ…。
ま、歴史漫画のようなディティールを求めることが筋違いなのかもしれないですね。

復讐劇にもかかわらず希望の持てるエンディングはgood!
作者の情熱も含めて楽しんで欲しい作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-09 18:20:12] [修正:2010-09-09 18:20:12] [このレビューのURL]

・初めて読んだ後の感想→「良く分からんが、パワーを感じる漫画だな…」
・設定集やweb上のまとめページを傍らに読んだ2度目→
 「うぉー、設定細けー、登場人物多すぎー、でも面白ぇー」
・さらに整理して読んだ3度目以降→「深ぇー」

初回はまるで塩野七生の文芸大作、『ローマ人の物語』を
古代ローマ史の予備知識無しに読んでいるようなもの。
「ハンニバル、カモーン」「カエサル、カモーン」「トライアヌス、カモーン」な、
展開を予測してワクワクするためのバックボーンがないままに、
歴史小説とか叙事詩を読むのに似ている。有る意味無謀な漫画である(笑)。

なので、2回目以降は巻末の年表などを学習しながら読み進めることになる。
しかし、年表の設定期間は56億7千万年。
その上、出来事はすべて作者の作り出した架空のモノ。無茶な漫画である(笑)。
以後はその世界を読み解いていくのだが、
設定が細かく、今のところ大きな破綻がないので、どんどん引き込まれていく…。
そうなればしめたもの(?)。幸か不幸か作品に嵌まれたとを喜ぶべきだ。

絵に癖があり、すらすらと頁をめくってあっという間に読み終えるような作品ではない。
個人的には出来るだけ多くの人にオススメしたいが、
受け付けない人がいるのも納得できる。少なくとも定食屋で暇つぶしにとか、
疲れた心をリフレッシュしてくれるようなことは期待出来ない。
他の方も書かれているが、これは漫画とは別のものなのかもしれないし…。

休載しっぱなしで(再開の予定はあるようだが)、
完結の見込みがあるのか微妙なので、今のところ8点。
完結したら10点もあり得る作品だと思います。

[追記(蛇足)]
備考のところに挙がっているお二人の作品も読んでいることに気がつき、
レビューとは無関係に少し鬱になりました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-01 17:52:26] [修正:2010-09-01 18:10:41] [このレビューのURL]

5点 サライ

設定は秀逸。
バイオハザード後の近未来の世界に『護衛メイド』が活躍すると言う
なかなかに期待させるものだった。だが、この作者の個性なのか、
心情や状況を「語りきらない」「説明しきらない」ところがあり、
いまひとつお話全体が読み手の腹の底に落ちてこない。
エンディングも唐突で納得できなかった。
個人的には過去編(生い立ち編)が終わったところで、物語の6合目だと感じたぐらいだ。
読んでいるかぎり打ち切りと言う雰囲気でもなかったのだが…。
良い原作なのに、演出が至らず受け手に伝達不十分になった、
そんなテレビドラマを見ている感じ。
エロ要素も微妙。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-08-26 04:28:06] [修正:2010-08-26 04:28:49] [このレビューのURL]

9点 寄生獣

散々語られてきた作品に新たなレビューもなんのなので、
オッサンの感傷文を一筆お目汚しに。

この作品との出会いは単行本の5巻が発売になった15年ほど前。
当時住んでいた東京は千歳船橋駅近くの書店に平積みされていて、
今思えばそれほど強烈な表紙でもないのに、
魅入られるように手に取りそのままハマってしまった。

少年ジャンプではスラムダンクが佳境に入った頃、
ネットもない時代で漫画の評判は口コミが頼りだったが、
新刊が発売になると大学のゼミの長机に
専門書と共に違和感なく複数置かれていた光景を覚えている。
あっという間に浸透してカルトな人気になっていった。
バブルがはじけ、阪神の震災、オウム関連の事件が起き
転げ落ちるように暗くなっていく世相に
ほの暗い作風が合っていたのかもしれない。

その後も事あるごとに読み返してきたが、いまだに色あせない。
私なんかに言われるまでもなく、語りづかれる名作になるだろう。
満点にしなかった(気持ち的には9.5点をつけたかった)のは、
作者の現行作品「ヒストリエ」に期待しているため。
大作になるのが必至のテーマなので、早く進んでくれることを切に願ってます。
「アッララララ−−−−−−−−−イ!!」(違っ)

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-08-17 11:23:40] [修正:2010-08-17 11:23:40] [このレビューのURL]

凄いなぁ、この作品。
個人的には苦手なテーマなのに一気に読んだ。
連載中の作品のレビューは控えていたのに、どうでも良くなってしまった。

性の不一致に対する悩みが主題のような気もするが、
思春期(その一歩手前?)特有の一般的な悩みがテーマであるような気もする。
苦手なテーマにもかかわらず妙に共感したのは、
自分の中にもきっとそういう部分があるのだろう。
二鳥君の女成分は9:1らしいが、
自分の自己分析は4:6…。程度の差だと感じた。
小学生の頃、年上の女性にカワイイといわれると嬉しかったし、
手や髪がキレイといわれるのも嬉しかったもの。

あー、それがすっかり加齢臭のする子持ちのオッサンになってしまった。
それでも読んでいて懐かしく思えるから、
きっと誰にでもある(ありえる)テーマの作品なのだと思う。

こういう繊細なことを作者は記憶しているのか?
新たに創作するのか?
その点も凄いと思った次第です。 

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-08-15 03:14:42] [修正:2010-08-15 03:24:38] [このレビューのURL]

この作者の作品は初めて。
アラハバキ信仰をモチーフにした作品だと期待して読んだのだが…。
物語にそれらしさを与える肉付けが圧倒的に足りない。
展開が早いのは悪いことではないが、説明不足で話が繋がってこない。
タイトルに内容が完全に負けてしまった印象。
絵は嫌いではないので残念だ。
読むのに使った時間を返せ!というほどではないので3点。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-08-10 12:17:32] [修正:2010-08-10 13:11:54] [このレビューのURL]

とてもおすすめです!
描かれているのは、酪農の新しいあり方など文章にするとお堅い感じのものですが、
1巻読み終わる頃には何故か癒されていること請け合いです。
それはこの作品が、視野を広げて本質みることが
心を豊にしてくれることを教えてくれるからかも。
せかせかした気分を落ち着かせたい時にもうってつけ。
レビューになっていませんが、機会がありましたら是非読んで下さい。
いやー、本当に不思議な作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-08-07 13:26:10] [修正:2010-08-07 18:42:55] [このレビューのURL]

最近の世に出ている一般的な作品は、
どれも読みやすいし良く考えられている。
こなれていると言えば良いだろうか。
この作品は後期の手塚作品ではあるが、
そういった意味ではやはり時代を感じてしまう。

だが、そんなことはどうでも良いと思わせる
強いメッセージがこの物語には込められている。
機会があれば四の五の言わず読むべき作品だ。

今の漫画出版界にもこう言った
「大切なことを伝える作品」を生み出す土壌が
僅かでも残っていると良いのだが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-08-04 16:59:46] [修正:2010-08-04 18:11:27] [このレビューのURL]

久しぶりに再読したのでレビュー。

相変わらず面白かったが、ジャンプ漫画…というか、
少年ジャンプの編集方指針?に忠実に則って進んでいく
物語の変遷が凄まじく、連載時とは違った意味でも楽しめた。
「バクマン。」とセットで楽しむのも一興かも。

良作だが同じ作者の次作「レベルえE」には遠く及ばないし、
休載がちな現行作品「HUNTER×HUNTER」よりも少年向けかも?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-08-02 23:56:17] [修正:2010-08-02 23:56:17] [このレビューのURL]