あらすじ
S市杜王町に住む青年漫画家、岸辺露伴。彼はある日、10年前に出会った女性、藤倉奈々瀬から聞いた「最も邪悪な絵」の事を思い出す。
好奇心と青春の慕情による物かどうかは自身にも不明だが、露伴はその絵を所有しているフランスのルーヴル美術館に向かったが、そこで彼は奇妙な事件に遭遇してしまう。
実はその絵にはある秘密が隠されていたのだ!!
備考
「ジョジョの奇妙な冒険」の外伝。第4部のその後を描いたストーリーとなっている。
フランスのルーヴル美術館と、フュチュロポリス社が2005年より実施してきたBD(バンド・デシネ)プロジェクトの第5弾として2009年に発表された。
フルカラー作品だが、その後日本語に翻訳されたものが『ウルトラジャンプ』誌上に分割して掲載された際はモノクロでの掲載となった。
単行本は大型サイズで発売。
この漫画のレビュー
9点 ITSUKIさん
日本人漫画家の漫画作品がルーヴル美術館へ展示されたのは史上初だそうです。
ウルジャン掲載時はモノクロにされてガッカリしたのですが、単行本化にあたってフルカラーで復活となって非常に嬉しかったです。
荒木先生初のフルカラーで、しかもジョジョで、しかも四部で、しかも岸辺露伴。
それだけで一冊3000円かかっても買うしかないだろとか考える前に買ってました。
日本で過去に出合った不思議な女性、奈々瀬から知らされた「最も邪悪な絵」の存在をふとしたきっかけで思い出した露伴が、単身ルーヴル美術館へその絵を求めて行き、そこで奇妙な体験をするという内容です。
露伴の過去話から物語はスタートします。
序盤は日本を舞台とし、「過去」という時の流れや「畳」などの和を連想させるセピア調のカラー。
ルーヴルのあるフランスへ着いてからはちょっと派手目なピンクを基調としたカラー。この塗りで違和感を持たせないのは流石としか。
そしてルーヴルの地下へ潜ってからは冷たく暗い緑で画面が彩られます。
色調が本当にガラッと違うものになるので場面の切り替わり、雰囲気の変化なんかはモノクロ以上にハッキリとし、カラーならではの良さを感じました。
それ以上に、ただフルカラーにするのではなく場面毎に全てのカラーを変える荒木先生のセンスが凄い。元々キャラクターの色とかは絵によって変幻自在なのが特徴でしたが…BDっていうのはこういう風なのが多いのでしょうか。ちょっと興味が湧きました。
そしてそれまでミステリー風だった雰囲気から急展開。カラーだとグロさも増しますね。
「やっぱりジョジョだった」と思わされる緊迫感。
短いページながらスタンドがしっかりと活躍したのもちょっと嬉しかったり。
絵の謎が解け、奈々瀬の言動のがサッパリと解明されるその結末も見事ですし、どこか哀愁漂わせる終わり方は「ジョジョ」本編とは違う「外伝」ならではで気に入っています。
「ルーヴル美術館みたいな場所ならば秘密の部屋や不思議な絵があっても何らおかしくない。」
そういうベタながらなんだか好奇心がうずく設定を見事に料理されていてニヤリとしてしまいました。
・にしても露伴は本作で27歳、4部本編時は20歳。実に7年も経ってるのに仗助達はなんで未だに学ランを…?
・しかも4部の本編(20歳)の時にスタンドが発現したはずなのに17の過去話でスタンドが使えている…?
・しかも16歳の時にデビューしてたはずなのに17歳でまだデビューしてない事になっている…?
………こういうツッコミは無粋ですかね。この程度では評価は変わりません。
「おとはなウソつきではないのです。まちがいをするだけなのです……」ですか?荒木先生ーーッ!
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-06-06 15:27:29] [修正:2011-06-07 15:41:17]