憂国のモリアーティのレビュー
6点 朔太さん
ジェームズ・モリアーティ教授とは、探偵小説『シャーロック・ホームズシリーズ』に登場する架空の人物です。
21歳にして素晴らしい科学論文を書くほどの高い知的能力をもった元数学教授という表の顔と、ロンドンに暗躍する悪党一味の統領として機智を振るい、狙った獲物は必ずしとめる犯罪者という裏の顔の2つを併せ持ちます。
子供の頃、ホームズシリーズの中で、最もワクワクしたのは、モリアーティが登場する回でした。悪役なのに何故か心が躍りました。
この魅力あるキャラにフォーカスした本作品は、私と同じような思いを持った方が二次創作を思いついたのでしょう。
モラン大佐やヘルダーを部下にしたり、三兄弟を登場させたりといった設定は踏襲されているようですが、決定的な違いは容姿でしょう。
原作には爬虫類を連想させる老人とありますから、ここでの若いイケメン紳士とは180度正反対と言うことになります。
三兄弟モリアーティの悪事の動機を、貴族支配の社会を打破するという憂国の発露としており、完全悪というわけでもありません。
しかし、1巻では、親と弟と使用人を家ごと焼き殺してしまいます。
この一点だけは、その必要性と正義感の位置づけが共感できないものですから、その後いくら正義を振りかざしても、やや後を引いてしまいます。
基本は、姿を隠しながら、目的を達成するための手段の狡猾かを楽しむのがキモです。
この点は、十分エンターテイメント性がある作品でした。4巻まで。
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[投稿:2021-11-03 04:04:38] [修正:2021-11-03 04:04:38] [このレビューのURL]
6点 鋼鉄くらげさん
この作品を一言でいうなら西欧版「必殺仕事人」といった内容で、シャーロック・ホームズの宿敵ジェームズ・モリアーティが貴族社会にはびこる悪に対し、自身の信念に基づいた正義の鉄槌を下すというのが基本的な物語の概要になっています。
1巻の時点ではそれほど面白くはなかったのですが、2巻からとある人物が登場してから話がジワジワと面白くなってきました。
なお、ジェームズ・モリアーティの話ですが推理ものというよりは復讐劇といった感じの内容の方がメインになっているので、本格ミステリー的なものを期待すると少し期待外れになってしまうかもしれません。
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[投稿:2020-11-06 19:25:08] [修正:2020-11-06 19:25:08] [このレビューのURL]