やがて君になるのレビュー
9点 臼井健士さん
百合の物語で長編。かつてここまでキャラ・物語・画力が揃った作品はまずなかった。
シリーズ累計で100万部を突破した異例の作品。
高校に進学した侑は卒業した中学にひとつ忘れ物をしてきていた。
仲の良かった男子生徒に卒業式に告白されていたのだが、恋する気持ちが分からなかった侑はその返事を保留していたのだ。
やがてその時がくれば映画や歌の世界にあるような恋する気持ちが理解出来て、私の心にも羽が生えたような気持になる・・・・そんな憧れは叶わないままだった。
部活動を何処にしようか決めあぐねていたら先生から生徒会を手伝ってと頼まれて、人のいい侑は流されるままに引き受けてしまう。学園の外れにある生徒会室を訪ねた時に出会ったのが次期生徒会長とも噂される才女の燈子。
しかも男子生徒に告白されている場面に遭遇してしまう。図らずもその場面を見てしまった侑は、先輩なら「誰も好きになれない」自分の気持ちを理解してもらえるのではないかと感じて相談してみようと思った。
「ボーイ・ミーツ・ガール」は古来より「冒険の始まり」を意味する。
では「ガール・ミーツ・ガール」は何の始まりなのか?
「自分を特別にしないからこそ好きになった少女」と「誰かを特別と思わないから好きを貰えた少女」の物語。
一方通行なはずの想いが日常の中で化学反応を起こして変化する様は、男女のラブコメでは到底辿り着けない境地。
「女の子同士」であることなど何の問題もない。
そこには交錯する登場人物たちの真剣な想いのやり取りが、あたかも煌めく星々のように舞い散るのだから。
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[投稿:2019-06-04 17:54:31] [修正:2022-05-06 09:24:22] [このレビューのURL]