アンラッキーヤングメンのレビュー
7点 gundam22vさん
事実を題材としたフィクションとしての歴史漫画(当然全部史実じゃない)の水準に十分に達しているであろう1968年を題材とした漫画。名前は仮名ながらもモデルにかなり近い人物が登場。それぞれの事件を事実部分を細かく拾いながら創作で掘り下げたり、リンクさせたりする描写が上手かったです。ヨーコが二人出てきて永田洋子はこっちなのかと後半で驚かされたところもありました。永山事件の死刑執行がかなり遅れた情状面の難しさも漫画を読めばイメージできるところもありましたし。3億円事件も実際の事実から独自の展開で考察して面白かったです。絵柄もスッキリして綺麗ですし、石川啄木の詩を混ぜながらの格好つけた暗さがある青春物語的でもありました(性描写が多いが不快さが軽減される)。犯罪者だらけですが、唯一現在華々しく活躍する北野武を想起する人物を主要キャラとして出してそれが一段と面白くしたと思います。彼をかなり創作部分で犯罪に関与している感じで描きつつも、魅力的なキャラなのがギリギリで訴えられないレベルで留まったのかなというほど思い返せば際どい物語でした(今の時勢だとこういうのさらに描けないかもしれない)。
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[投稿:2015-04-14 20:53:26] [修正:2015-04-14 20:53:26] [このレビューのURL]
9点 デビルチョコさん
激動の時代を生きた若者達の青春サスペンス物語。
3億円事件を物語の軸としてストーリーが進んでいく。
この未解決事件には様々な憶測や都市伝説めいた話があるが、
それらを非常に上手く作品に取り込んでいる。
この作品は全てフィクションとされているが、
史実と上手く絡めたストーリー構成は見事。
また作画を担当した著者はこの作品で新境地を開けた感じがする。
コマ割り、心情心理の描写、アングル等、絵が素晴らしかった。
そして随所に出てくる石川啄木の詩。
傍観者として淡々と詩を読んでいるような雰囲気が、
美しくもあり、何やら恐ろしくも感じた。
このコンビで、他の事件を題材にした作品を読んでみたいと思った。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2015-04-11 08:12:42] [修正:2015-04-11 08:12:42] [このレビューのURL]
6点 torinokidさん
舞台は概ね60年代末から70年代初頭の日本。
当時起きた様々な事件がてんこ盛り。
藤原氏の良い意味で昭和チックな絵柄が見事にマッチしている。
よくよく考えてみると凄い事件だらけだよなあ。
まさに動乱の時代。
TやらMやら実在の人物を想起させる描写もなかなか興味深い。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-03-28 11:10:58] [修正:2011-03-28 11:12:13] [このレビューのURL]
8点 xenosさん
この作品の偽史的な想像力には脱帽するばかりである。
戦後最大の激動期である1968年を舞台に物語は進行していくのだが、その当時の主だった出来事の人物が相互にリンクしあい、独特の世界観を形成している。故に無論、予備知識がなくとも面白くは読めるが、偽史的想像力という観点からの面白さは多少の予備知識が必要かも知れない。だが、むしろ予備知識を持っていない状態で読んでみて「1968年」の入門書として有効に活用できる可能性がある。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-06-21 20:38:25] [修正:2010-06-21 20:38:25] [このレビューのURL]